ゆず
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ゆずが『うたコン』で震災15年を込めた新作「幾重」を初披露 紅白出演デュオ・ハンバート・ハンバートも朝ドラ主題歌担当に込めた思い
2024年3月10日、NHK教育テレビで放送された音楽番組『うたコン』は、東日本大震災から15年を迎える節目の節目として特別な意味を持つ一時間を費やした。その中心には、元・バンド「ゆず」のトップバッター・菊池一仁氏が手掛けた新作楽曲「幾重」の世界初披露があった。この曲は、震災直後の被災地で歌われた「震災伝承ソング」を再構成し、今一度未来へ向けて届けようとするメッセージが込められている。
震災15年を超えた“心の繋がり”:新作「幾重」の誕生
『うたコン』の特設コーナーでは、菊池一仁氏が語るように、「震災が起きた時に歌われた『幾重』っていう歌があるんです。被災地で歌われ、それが全国に広まっていった。それを、15年後の今、ちゃんと最後まで守ってほしいと思って、再構成してみました」と述べている。
この「幾重」は、2011年3月11日の地震発生直後、宮城県石巻市で被災した人々が互いに支え合うために歌った口伝の民謡だ。当時、多くの被災者が亡くなり、その記憶が薄れていく中で、この歌は「生き残った人たちの証」として、また「未来への誓い」として語り継がれてきた。
菊池氏によれば、彼自身も震災当時、東京で制作現場にいたことから直接被害に遭わなかったが、「誰かの背中を押してもらった」存在であり、その恩返しとしてこの曲を制作したという。
紅白出演デュオ・ハンバート・ハンバートも朝ドラ主題歌担当に込めた思い
同日の放送では、紅白歌合戦に出演する予定のデュオ「ハンバート・ハンバート(Humboldt Humboldt)」が、NHK朝ドラ『ばけばけ』の主題歌を担当する過程についても紹介された。同ドラマは、被災地出身の子どもたちが笑顔を取り戻す物語を描いており、彼らが「最後に笑顔になれるように」と願い、主題歌の歌詞に込めた思いを語った。
菊池氏は「(ハンバート・ハンバートのメンバーが)自分たちの経験を通じて、何が大切かを感じている。それが、このドラマのテーマにも通じる部分があるんじゃないかなと思って」と、共感を示唆した。
歴史的背景:震災伝承ソング「幾重」とその社会的意義
「幾重」は、正式名称は「幾重にも(震災伝承ソング)」と呼ばれる。当時、石巻市の避難所で暮らしていた被災者たちが、互いに励まし合いながら歌ったもので、その後、全国の被災地で広く伝わるようになった。
歌詞は簡潔だが力強く、「幾重にも 迷いながら 歩いてきた 今 君と歩む 未来へ」といったメッセージが込められており、災害の後に残された人々の希望と復旧への意志を象徴している。
この曲は、震災後の日本社会において、「共感」「支援」「再生」といったキーワードを浮上させた大きな出来事となった。多くのクリエイターやミュージシャンがこの曲を再解釈し、被災地支援活動に活用するなど、文化的な影響力を持ち続けている。
『うたコン』の特別企画:震災15年を超えた“歌”の力
『うたコン』は、毎年恒例の音楽番組だが、今年は特別に震災15年を記念する企画を展開。除役した元首相・菅直人氏も、震災当時の状況を振り返るインタビュー映像が放映され、被災地の復興の現状と課題についても触れられた。
また、櫻坂46のメンバーや新浜レオンなど、多くのアーティストが出演し、被災地への感謝と未来への想いを語る内容となった。番組終盤には、菊池氏による「幾重」のパフォーマンスが行われ、視聴者からは大きな拍手と涙声が飛び交った。
現在の影響と社会的関心
この特別番組は、YouTube公式チャンネルを含む各プラットフォームで高い反響を呼び、多くの視聴者が「再びこの歌を聞くと、今も被災地の人々の気持ちが伝わってくる」と感想を共有している。SNSでは、「#幾重」「#震災15年」「#ゆず」といったハッシュタグが話題となり、関連キーワードの検索ボリュームも急増している。
専門家の間でも、このような形で伝統的な民謡を現代のアーティストが再構築し、社会全体に還元する試みは、「文化の継承」と「メモリアル教育」の両面で意義があると評価されている。
未来への展望:記憶を守り、新たな世代へ継ぐ
菊池一仁氏は、「これからも、この歌が誰かの力になってくれれば」と語り、今後は学校や地域のイベントなどでも「幾重」の普及に努める意向を示している。また、震災から15年という節目を境に、被災地の若者たちへの継承プログラムの立案も進めている。
一方で、一部の評論家は「過度な商業化は避けるべきだ」との指摘もあるが、主流の意見は「適切な形での再解釈こそが、記憶を未来に残す鍵だ」と見ている。
まとめ:歌が紡ぐ、15年前の記憶と未来への架け橋
『うたコン』が放送した「幾重」の再構成版は、単なる音楽作品ではなく、日本社会が直面する「災害からの回復」「記憶の保存」「世代間の理解」といった課題を浮き彫りにする重要な出来事となった。震災15年を過ぎた今、この歌が持つ「心の繋がり」は、まだまだ多くの人々に届く必要がある。
NHKは今後も、このようなメモリアル番組を通じて、社会全体にとって不可欠な「記憶の共有」を促進していく方針だ。
本記事は、AERA DIGITAL、Yahoo!ニュース、NHKの公式報道をもとに執筆しました。