中国 レアアース 輸出規制
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中国レアアース輸出規制:日本政府が「絶対に容認できない」と反発、その背景と今後への影響
2025年5月、中国が「国家安全保障」を理由に特定のレアアース(希土類)の輸出規制を強化したことを受けて、日本政府は「絶対に容認できない」とする談話を発表し、強く反発しました。これは単なる貿易摩擦ではなく、半導体や防衛産業、さらには自動車産業といった基幹産業の根幹を揺るがす深刻な経済安全保障上の問題として、日本国内のみならず国際社会全体の注目を集めています。
中国が支配的なシェアを誇るレアアース。その輸出規制が、日本の産業にどのような影響を及ぼし、今後どのような展開が予想されるのでしょうか。最新のニュースと専門家の分析に基づき、その全貌を深掘りします。
事態の核心:中国の輸出規制と日本政府の強硬姿勢
今回の騒動の発端は、中国商務省が2025年4月に発表した輸出管理措置の強化です。公告では、特定のレアアース関連製品(磁石など)の輸出に事前許可制を導入し、違反者には輸出権の剥奪などを科すとしています。その理由として�げられたのが、「国家安全保障の維持」と「国際義務の履行」です。
しかし、日本政府はこの措置を経済的な圧力と受け止め、即座に反発しました。朝鮮日報日本語版の記事によれば、林官房長官は「国際規範に反し、我が国の産業に重大な影響を与える可能性がある」とし、「絶対に容認できない」という強い口調で中国を非難しました。
中国商務省の公式発表(2025年5月) 「国家安全保障と国際義務の観点から、希土類など関連製品の輸出管理リストを調整する。関連輸出は許可申請が必要となる。」
この措置は、なぜこれほど深刻な問題と見なされているのでしょうか。その背景には、日本経済、特に製造業における「中国依存」の高さがあります。
なぜ今なのか? 発表のタイミングと背景
中国が輸出規制に踏み切った背景には、米中対立の激化と、自身のレアアースを巡る戦略的位置づけの強化があります。レアアースは、EV(電気自動車)のモーターや風力発電機、高性能ドローン、そして半導体製造装置といった次世代技術に不可欠な素材です。中国は、世界のレアアース供給の約6〜7割を支配しているとされ、これを「レアアースカード」として外交・経済圧力の材料に用いる動きが、以前から指摘されていました。
特に、日本が半導体製造装置の輸出規制を米国と連携して強化する中、中国側がこれに対する対抗措置として、レアアース規制を打出したとの見方が強いです。これは、日中が経済安全保障の面で激しく火花を散らしている状況を如実に示しています。
専門家の見解:日本は「焦る必要はない」という意見も
中国の強硬姿勢に対して、日本国内では冷静な分析も行われています。日本経済新聞の記事では、中国問題に詳しい経済評論家の柯隆氏(当時)の意見が紹介されています。彼は、「日本は焦る必要はない」と主張します。
その理由は、中国側にも弱点があるからです。レアアースは、鉱石から取り出す「採掘」だけでなく、それを精製・加工し、実用的な製品(特に強力な磁石)へと変える「分離精製」「加工」の技術が不可欠です。この一連のプロセスにおいて、中国は圧倒的なシェアを誇る一方で、日本や欧米も高度な加工技術を保有しています。
柯隆氏の主張(日本経済新聞より) 「中国はレアアースの供給量で圧倒的なポジションにあるが、高品質な磁石などの最終製品を作る技術は、日本や欧米にも存在する。中国も輸出を完全に止めて自国の産業を傷つけることは避けたいはずだ。」
この指摘は、中国の規制が「自国の経済にも打撃を与える刃向う行為」であることを示唆しています。しかし、短期的な供給停滞や価格高騰というリスクは依然として存在し、日本企業は油断できません。
読売新聞社説が指摘する「許されぬ経済的威圧」
読売新聞の社説は、この中国の措置を単なる貿易管理の範囲を超えた「経済的威圧」と断じ、その不当性を強く批判しています。
社説では、中国が過去にも日本に対する経済圧力としてレアアースの輸出を規制した事例(2010年尖閣諸島沖での中国漁船事件に端を発する輸出停止)を挙げ、「国際社会が許容できる範囲を著しく超えた行為」と指摘。国際ルールに基づいた市場経済の原則を逸脱した、一方的な力の行使であると非難しています。
さらに、日本の半導体産業やEV産業への影響が甚大であるため、政府として断固たる対応が必要であると訴えています。この社説は、日本国内の世論、特に産業界や保守層の中国への警戒感を強く反映しています。
〈補足〉 レアアースとは? なぜ「ガラスの中の砂金」と呼ばれるのか?
この機会に、改めてレアアースとは何かを理解しておくことは重要です。レアアース(希土類)は、その名の通り「希少」な元素群を指しますが、実際には地殻にそれほど微量に存在するわけではありません。しかし、鉱石としてまとまって産出する場所が極めて限られており、さらに採掘・精製プロセスが環境負荷が高く、複雑なため、供給が特定の国に集中しやすいという特徴があります。
その用途は多岐にわたり、スマートフォンの画面表示(蛍光体)、電気自動車のモーター、風力発電タービン、防衛装備品(ミサイル誘導など)など、現代社会のハイテク機器に不可欠な「维生素(ビタミン)」的な役割を果たしています。このため、安全保障上、極めて重要な戦略物質と位置づけられています。
産業界への即時的な影響と企業の動向
中国の規制強化が発表されて以降、日本の自動車メーカーや電子部品メーカー、半導体関連企業は、サプライチェーンの見直しを急いでいます。
特に影響が懸念されるのがEV用モーターです。EVの駆動用モーターには、小型で高出力が実現できる「ネオジム磁石」が不可欠であり、これはレアアースの一つであるネオジム为主要原料としています。中国が磁石の輸出も規制の対象に含めている場合、日本のEV生産計画に打撃を与える可能性があります。
一部の企業では、中国以外からの調達先確保や、レアアース使用量を抑えた新素材の開発を加速させる動きが出ています。しかし、代替調達先を開拓しても、価格高騰は避けがたいため、製品コストの上昇が製造業全体の課題