西武ライオンズ
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西武ライオンズ、守備要員の獲得と放出…「ペラ市」こと古市尊選手のDeNA移籍が示す戦略転換
西武ライオンズが2026年1月のöttoman期(オフシーズン)に発表した選手動向は、単なる補強以上の意味合いを持つ。特に、長年在籍しファンから愛された「ペラ市」こと古市尊捕手の横浜DeNAベイスターズへの移籍は、チームの新体制における冷静な戦略判断の表れと言える。西武は、捕手のポジションに海外FA権を行使して大城滉二選手(元・中日ドラゴンズ)を完全移籍で獲得する一方で、若手育成の頓挫した古市選手の移籍を了承した。この一連の動きは、2026シーズンの西武ライオンズが目指す「選手層の厚さ」と「勝利への欲求」を如実に物語っている。
激動のオフシーズン:古市尊選手のDeNA移籍と大城滉二選手の獲得
2026年1月8日、西武ライオンズは公式サイトにおいて、捕手の古市尊選手を横浜DeNAベイスターズへ移籍させる方針を発表した。これと同時に、FA(フリーエージェント)権を行使した中日の大城滉二選手の完全移籍加入も決定し、西武の捕手陣は大きく変動した。
愛称「ペラ市」の去就と、相川監督の評価
DeNA側の発表によれば、古市選手の獲得はFA人的補償(人的補償)によるものとされている。古市選手は、その軽やかな守備力とアグレッシブなプレーから「ペラ市」という愛称で親しまれ、西武に加入した2022年以降、一貫して一軍の補強要員としての役割を期待された。
しかし、西武の新監督に就任した相川亮二氏は、古市選手の能力を高く評価しつつも、自らの構想に組み込むことはなかった。スポーツニッポンの記事内で、相川監督は古市選手について「能力は凄く高い。肩も強い」と肯定的な見方を示しつつも、移籍を了承した背景には、現状の西武の捕手事情が反映されている。
選手交代の背景にある「即戦力」と「将来性」の狭間
西武が古市選手の移籍を承認した最大の要因は、捕手ポジションの混雑と、より攻守に優れた選手の獲得にある。2025年オフ時点で、西武には国内FAで加入した炭谷銀太郎選手が主軸におり、前年からの若手・木村拓哉選手らが育成されている。そこに、FAで完全移籍した大城滉二選手が加わることで、一軍の出場機会は極めて限定的となる。
大城選手は、中日時代からリーグ屈指の守備力とリードで知られる捕手だ。西武の新体制が目指す「守備から攻撃へ」という野球において、大城選手は不可欠な存在と見なされている。その一方で、古市選手は昨季、一軍での出場は僅か11試合にとどまり、打率.143と結果を残せていたとは言えない。愛称「ペラ市」の活躍の場は、埼玉から横浜へと移ることになった。
公式発表と報道:事実関係の整理
本件に関する情報は、主にDeNA側の公式発表と、スポーツニッポン、Yahoo!ニュースの記事によって構成される。西武ライオンズの公式発表は、古市選手のFA人的補償としての移籍を簡潔に伝えている。
メディアの反応と事実確認
Yahoo!ニュースが配信したスポーツニッポンアネックスの記事「DeNA 桑原FA人的補償で西武から古市尊捕手を獲得 相川監督『能力は凄く高い。肩も強い』」では、相川監督のコメントが焦点となっている。監督が移籍した選手をこれほど明確に称賛するケースは珍しく、古市選手のポテンシャルの高さは西武内部でも認識されていたことが窺える。
また、dメニューニュースの記事「愛される『ペラ市』古市尊が西武からDeNAへ移籍」は、古市選手のキャラクターや、ファンとの関わりに焦点を当てている。4年間在籍した西武を離れ、新天地で再出発する選手の心情にも触れつつ、移籍が「選手のキャリアにとっても良い選択肢であった」というニュアンスで伝えている。
DeNAの公式サイトには、桑原将監督のFA人的補償として古市選手を獲得したことが明記されている。桑原将監督はDeNAの新監督であり、古市選手の獲得は、その監督が目指す野球に合致する選手を補いたいという意向が強かったと推測される。
西武ライオンズの捕手事情と戦略的背景
古市選手の移籍を理解するためには、西武ライオンズの2026年に向けた捕手布陣の再構築を読む必要がある。
「守備の要」としての期待と現実
2025年シーズン終了後、西武は捕手の補強に動き、その結果が大城滉二選手の獲得であった。大城選手は、リーグ最多盗塁阻止数を複数回記録した実績を持つ、まさに「守備の要」と言える存在だ。西武の新監督である相川亮二氏自身が元捕手という経歴から、この分野の重要性を深く理解しており、自らの代わりに守備を任せるキャッチャー像を理想としている可能性が高い。
一方で、古市尊選手は、守備ではリーグ屈指の送球速度を誇るが、打撃面での課題を抱えていた。3年目となる2024年には一軍で打率2割台後半を記録し、一定の存在感を示したが、2025年は成績が低迷。打席数が限られる中で、チームが求める「得点力」という点において、古市選手のポジションは危ういものがあった。
FA人的補償が生んだ「Win-Win」の関係
DeNAは、桑原将監督がFAで加入するにあたり、西武から人的補償として捕手を求めた。西武にとってみれば、大城選手の獲得による捕手の厚みと、古市選手の去就が重なった結果、この移籍がスムーズに進んだ。
西武は、大城滉二選手(中日→西武)、炭谷銀太郎選手(楽天→西武)、そして古市尊選手(DeNAへ移籍)という大きな動きの中で、捕手ポジションを「勝つための布陣」に再編成した。これは、若手の成長を待つ余裕がなく、今すぐ勝ちに行くという球団の強い意志の表れである。