若元春
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豊昇龍の初場所7日目、流血の死守戦…横綱の壁と「立ち合い」を巡る議論
大相撲の初場所が折り返し地点を迎える中、新鋭横綱・豊昇龍の戦いに Wahl の目が注がれている。7日目に見せた“流血の死守”は、単なる勝敗を超えたメッセージをファンに送りかけた。その激闘の裏側で、元琴風の目と呼ばれた元大関・琴風の鋭い指摘も浮き彫りになる。豊昇龍の現在地と、その未来を占うキーファクターを徹底分析する。
豊昇龍の激闘と「取り直し」の向こう側
大相撲初場所7日目、横綱豊昇龍は土俵の上で真っ赤な血を流した。対戦相手は北の若。互いに譲らない組み手から、豊昇龍の眉間から血が滲み、土俵を染めた。それでも彼は最後まで踏ん張り、取り直しの末に6勝目を挙げた。
NHKニュースの報道によると、この一番は「取り直し」の末の勝利だった。一度は北の若が寄り切ったかに見えたが、豊昇龍の必死の踏ん張りが審判の目を引き、再戦が命じられた。その再戦で豊昇龍は逆転勝利を収めたのだ。
この勝利は単なる数値以上の意味を持つ。横綱としての責務を、血と汗でかき集めながらも全うした証だからだ。しかし、その戦い方を巡っては、元大関・琴風の目(琴風敏郎氏)の厳しい指摘が投げかけられている。
スポーツ報知の記事で、琴風氏はこの一番を振り返り、「立ち合いを考え直すべき」「踏み込みが浅い」と語った。琴風氏は元琴ノ若部屋の所属で、1980年代後半から1990年代初頭に活躍した名大関だ。その視点は、単なる批評を超えた重みを持つ。
琴風氏の指摘は、豊昇龍の立ち合いの癖に向けられたものだ。彼の立ち合いは、相手の出鼻をくじく「待った」を多用するスタイルが特徴的だ。しかし、琴風氏は「踏み込みが浅い」と指摘。これが「死守」に繋がった要因の一つだと分析する。
つまり、豊昇龍は立ち合いの段階でリードを奪えず、結果として組み手にこじれたことで流血の死守戦を強いられたというわけだ。琴風氏は、このままでは横綱としての威厳が損なわれかねないとの懸念を示している。
横綱の孤高と「初場所」の意味
豊昇龍が横綱の地位を手にしてから、初場所を迎えるのは初めてではない。しかし、彼の横綱としての地位は、常に「綱の強さ」と「現状の強さ」の狭間で揺れ動いている。
豊昇龍は、2024年1月場所で横綱昇進を果たした。しかし、その直後の春場所(3月)は途中休場に追い込まれた。大腿筋の怪我という現実的なハンデが、横綱の地位を揺るがせた。
そんな中で迎えた初場所、豊昇龍に求められたのは「綱の威厳」の回復だった。しかし、現実は厳しかった。7日目までに2敗を喫し、そのうちの一つが「流血の死守」での勝利だったことは、彼の現在の課題を如実に物語っている。
琴風氏の指摘する「立ち合い」の問題は、豊昇龍の技術的な課題に深く関連している。彼の立ち合いは、相手の動きを読んだ上で「待った」をかけるという、高度なテクニックが求められるスタイルだ。しかし、これが度を過ぎると、審判からの「相撲を取れ」という指示を招くリスクがある。
琴風氏はその点を憂慮し、「立ち合いを考え直すべき」と語った。これは、単なる技術的なアドバイスではなく、横綱としての威厳を保つための提言なのである。
一方で、豊昇龍の強さもまた、無視できない。彼の強さは、柔軟な体幹と、高いバランス感覚に支えられている。特に、寄り倒しや引き出しに見せる技は、その身体能力の高さを物語っている。
時事ドットコムが公開した画像には、豊昇龍が相手を寄り倒そうとする瞬間が捉えられている。その姿勢は、まさに「横綱の品格」を体現しているかのようだ。しかし、琴風氏が指摘するように、その技術が「踏み込みの浅さ」に繋がってしまうと、勝率が低下するリスクを伴う。
元琴風の目が語る「横綱の壁」
琴風氏の指摘は、豊昇龍個人の問題に留まらない。それは、大相撲の「横綱」という地位そのものが抱える課題を浮き彫りにしている。
大相撲の歴史において、横綱は最強の地位だ。しかし、その地位に就くことは、常に「完璧な力士」という期待を背負うことを意味する。琴風氏自身、大関として全盛期を過ごした経験があるからこそ、その重みを理解している。
琴風氏は、豊昇龍の「立ち合い」について、「考え直すべき」と語った。これは、単なる技術的な指摘ではなく、横綱としての心構えを問う発言だ。つまり、「待った」を多用するスタイルは、相手を威圧する「横綱の品格」とは相容れないというのだ。
また、琴風氏は「踏み込みが浅い」とも指摘した。これは、豊昇龍の相撲が「受け身」に傾きがちであることを示唆している。横綱は、常に攻撃的な姿勢で相手を圧倒してこそ、その地位に値する。琴風氏の指摘は、豊昇龍にその姿勢を求めているのである。
琴風氏の発言は、豊昇龍への厳しいアドバイスであると同時に、現在の相撲界に対する問題提起でもある。近年、相撲界は「待った」を巡る審判の判断が厳しくなっている。これは、相撲の見どころを損なわないための措置だが、一方で力士の技術的な選択肢を狭めるリスクも孕んでいる。
豊昇龍の「立ち合い」は、その技術的な自由度の高さを象徴している。しかし、琴風氏は、その自由度が「横綱の品格」を損なう可能性を指摘している。これは、相撲界全体が向き合うべき課題でもある。
「流血の死守」が示す豊昇龍の強さと弱さ
豊昇龍の7日目の勝利は、彼の強さと弱さを同時に暴露した。
強さは、流血しながらも最後まで戦い抜く精神力だ。北の若との取り直しの末の勝利は、彼の「負けん気」の強さを証明した。琴風氏も