レアアース 中国離れ

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「中国依存」からの脱却へ動き出すG7:レアアース新市場構想の行方

現代の高度な技術社会を支えるには、_neededな存在感を放つのが「レアアース」です。スマートフォンから電気自動車(EV)、さらには風力発電機に至るまで、先端技術産業に不可欠な存在として知られています。しかし、その供給の大部分が特定の国に依存しているという現実は、世界経済に大きなリスクをはらんでいます。

この状況に警鐘を鳴らし、動き出したのがG7(主要7カ国)です。2024年5月にイタリアで開催されたG7財務相会合では、「レアアース中国依存度の低下」が議題に上がり、国際社会として結束して対抗していくことで一致しました。これは単なる貿易問題ではなく、安全保障や経済安全保障を左右する極めて重要な転換点です。

本記事では、G7が掲げる「新市場構想」とは何か、そしてなぜ今「中国離れ」が叫ばれるのか、最新のニュースを交えながら詳しく解説します。

なぜ今、「中国依存」が危ぶまれているのか?

「レアアース」とは、ジスプロシウムやネオジムといった希少金属の一群を指します。これらは、磁石としての性能が非常に高く、小型で高出力なモーターを作るのに不可欠です。EVの駆動用モーターや、風力発電の発電機、さらにはスマートフォンの振動機能など、私たちの生活に深く関わっています。

このレアアースの精製や加工において、中国は世界の9割以上という圧倒的なシェアを誇っています。これは、歴史的にレアアース産業に早くから国を挙げて取り組んできたためです。しかし、この「支配的」な立場が、地政学的なリスクを高めているとG7各国は警戒しています。

G7財務相会合での歴史的な合意

転機となったのは、2024年5月25日、26日にイタリアで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会合です。

この会合で、日本を含むG7各国は、「重要鉱物(レアアースを含む)のサプライチェーンを多様化し、中国への過度な依存を低減させる」ことで事実上合意しました。

片山財務相の会見での発言(日テレNEWS NNNより) 「(中国への)依存度を下げることで、G7や国際会合で一致している」

これは、これまで「経済合理性」を優先して進めてきたグローバルなサプライチェーンを見直し、「安全保障」としての強靭性(レジリエンス)を確保するという、G7の大きな方針転換を意味します。

G7財務相会合

G7が目指す「新市場構想」とは?~中国を排除する新ルール~

G7が中国依存からの脱却に向けて具体化しつつあるのが、いわば「新市場構想」です。これは、単に「中国から買わなくなる」という消極的な話ではなく、新たな供給網(サプライチェーン)を世界に構築しようという積極的な戦略です。

1. 「友好的」な国との連携強化

その核となるのが、「フリンドシップ・サプライチェーン(友好国供給網)」の構築です。G7は、レアアースの新たな鉱山開発や精製工場の建設を、政治的な価値観を共有する「友好的な国」や「信頼できる国」で行おうとしています。

具体的には、オーストラリアやカナダ、そしてインドなどが候補として挙げています。これらの国は、レアアースの埋蔵量は豊富ですが、これまで中国の低価格攻勢に押されて、産業化が進んでいなかった地域です。G7が資金や技術支援を行い、中国に代わる供給源を作り出そうというわけです。

2. 「エコ」で「クリーン」な調達を徹底

もう一つの特徴が、環境・社会課題(ESG)への配慮です。中国のレアアース産業の中には、環境汚染や労働問題が指摘されているケースがあります。一方、G7の新構想では、「クリーンで、人的権利を守った調達」を強く志向しています。

朝日新聞の記事(Yahoo!ニュース掲載)からの指摘 G7は「中国の支配」に対抗し、新たな市場ルールを構築しようとしている。そのルールとは、安全保障と環境・労働基準を満たした「公正な市場」である。

これにより、G7は「価格」だけではなく「価値」で勝負する市場創りを目指しています。これは、安かろう悪かろうを許容しない、先進国としての姿勢の表れと言えるでしょう。

現場に与えるインパクトと影響

G7のこの動きは、企業や市場にどのような影響を与えるのでしょうか。

自動車産業への波紋

特に影響が大きいのは、電気自動車産業です。EVの心脏部である駆動用モーターには、高性能な磁石が必要ですが、その磁石にはネオジムやジスプロシウムなどのレアアースが不可欠です。

もし中国が「レアアースの輸出制限」を仕掛けてきたら、世界のEV生産は瞬時に止まってしまいます。G7の動きは、自動車大手各社にとって「サプライチェーン断裂リスク」を避けるための生命線確保とも言えます。

日本企業の新規参入の機会

日本企業にとっても、これは大きなビジネスチャンスです。特に、レアアースを「回収・再利用」する技術(リサイクル)において、日本は高い技術力を保有しています。

「新たな鉱山を開発する」だけでなく、「使い終わった製品からレアアースを抽出する」経済圏(サーキュラーエコノミー)を構築できれば、資源の乏しい日本にとって、国際的な発言力を強める材料になります。

電気自動車のモーターとレアアース

中国側の反応と今後の見通し

G7が結束して中国包囲網を強化しようとしている一方、中国側もただ手を拱いているわけではありません。

中国の反撃と「レアアースカード」

中国は、過去に実際にレアアースの輸出制限を行使した実績があります(2010年)。今後、G7の圧力が強まれば、再びこの「レアアースカード」を切る可能性も否定できません。

しかし、中国も「輸出制限」という強硬策には慎重です。なぜなら、中国経済自体が世界経済に深く組み込まれており、輸出制限による自国の経済悪化や、G7からの報復(半導体輸出規制など)を懸念しているためです。

「新市場構想」の難しさ

一方で、G7の新構想がすぐに成功するかというと、課題は山積みです。

  • コストの問題: 中国以外の場所で採掘・精製すると、コストは必然的に高くなります。最終的に消費者が負担する製品価格が上がる可能性があります。
  • 技術力の問題: 中国は、採掘だけでなく、低コストでの高度な精製技術でも圧倒的な差を付けているため、追随には時間がかかります。
  • 環境規制: G7が重視する環境基準を満たすには、高度な設備投資が必要です。

未来への展望:資源