トライアル

トライアルとは何か？西友買収の裏側と、299円カツ重誕生秘話に迫る

近年、流通業界で注目を集めている「トライアル」。ディスカウントストアとして知られるだけでなく、その革新的なビジネスモデルとテクノロジー活用が注目されています。本記事では、トライアルがどのような企業なのか、なぜ今注目されているのか、そして今後の展望について、多角的に解説していきます。

トライアル、流通業界の台風の目となるか？

トライアルは、福岡県発祥のディスカウントストアチェーンです。「あなたの生活必需店」をコンセプトに、生鮮食品から日用品、衣料品まで幅広い商品を低価格で提供しています。その特徴は、単なるディスカウントストアに留まらず、リテールテックを駆使した効率的な店舗運営と顧客体験の向上に力を入れている点にあります。

近年では、大手スーパー「西友」を買収したことで、さらに注目度が高まっています。セゾン、ウォルマート、楽天と所有者が変わり続けてきた西友が、なぜトライアルに買収されたのか？　その背景には、トライアルの持つ独自の強みと、流通業界における新たな戦略が見え隠れしています。（出典：文春オンライン）

西友買収の真意：首都圏進出への足がかり

トライアルは、九州地方を中心に店舗を展開しており、首都圏への進出は長年の課題でした。約70店舗を都内に持つ西友を買収したことで、一気に首都圏でのプレゼンスを高めることに成功しました。

文春オンラインの記事では、トライアルの成り立ちにも触れられています。元々は家電などのリサイクル店としてスタートし、その後、小売店向けPOSシステムの開発に方向転換。90年代後半以降は、郊外型スーパーセンターを核に小売業に回帰したという異色の歴史を持っています。約4000㎡の売り場に6万〜7万アイテムが並ぶ店舗は、まさに「生活必需店」の名にふさわしい品揃えです。

299円カツ重の秘密：徹底した効率化と現場力

日経ビジネス電子版の記事では、トライアルの「食」へのこだわりと、驚きの低価格を実現する舞台裏が紹介されています。特に、299円（税抜）という破格の値段で提供されるカツ重は、その徹底したコスト削減と効率化の賜物です。

原材料の調達から製造、販売まで、一貫して自社で行うことで中間コストを削減。さらに、AIを活用した需要予測システムを導入し、食品ロスの削減にも取り組んでいます。これらの取り組みが、ココイチや焼肉きんぐといった大手外食チェーンにも負けない、高品質かつ低価格な商品を生み出す原動力となっています。

リテールテックの最前線：トライアルが描く未来

トライアルは、単なるディスカウントストアではなく、リテールテック企業としての側面も持っています。マールオンラインの記事では、西友買収の背景にある、トライアルのリテールテック戦略が解説されています。

AIカメラや電子棚札、スマートカートなど、最新のテクノロジーを積極的に導入し、店舗運営の効率化と顧客体験の向上を図っています。これらのテクノロジーは、顧客の購買データを収集・分析し、品揃えや価格設定、販促活動などに活用されています。

例えば、AIカメラは、顧客の店内での行動を分析し、商品の配置や陳列方法の改善に役立てられています。電子棚札は、価格変更をリアルタイムで行うことができ、タイムセールなどの販促活動を効果的に実施することができます。スマートカートは、顧客が商品をスキャンしながら買い物ができるため、レジでの待ち時間を短縮することができます。

トライアルは、これらのテクノロジーを駆使し、顧客にとってより便利で快適な買い物体験を提供することを目指しています。

近年の動き：トライアルの進化は止まらない

• 2024年4月： 株式会社ブシロードより、オールスターカードゲーム「Reバース for you」のトライアルセット及び、ブースターパック 「あおぎり高校」が発売。（これは、本記事で取り上げているトライアルカンパニーとは異なる商品であることに注意が必要です。）
• 2024年4月20日： ディスカウントストア「トライアルGO」の1号店として、福岡県宮若市にトライアルGO脇田店がオープン。
• 株式会社トライアルクイックを吸収合併。

これらの動きからも、トライアルが常に新しいことに挑戦し、進化を続けていることがわかります。

今後の展望：トライアルはどこへ向かうのか？

トライアルは、西友買収を機に、首都圏での店舗展開を加速させるものと予想されます。また、リテールテックへの投資をさらに強化し、店舗運営の効率化と顧客体験の向上に力を入れていくでしょう。

将来的には、オンラインストアとの連携を強化し、オムニチャネル戦略を推進していくと考えられます。顧客は、オンラインストアで注文した商品を店舗で受け取ったり、店舗で買い物をした商品を自宅に配送してもらったりすることができるようになります。

トライアルは、テクノロジーと独自のビジネスモデルを武器に、流通業界に新たな風を吹き込む存在となるかもしれません。

まとめ

トライアルは、単なるディスカウントストアではなく、リテールテックを駆使した革新的な企業です。西友買収を機に、首都圏への進出を加速させ、リテールテックへの投資をさらに強化していくと考えられます。今後のトライアルの動向から目が離せません。

補足情報：競馬における「トライアル」

競馬の世界でも「トライアル」という言葉が使われます。これは、本番のレース（例えば皐月賞）に向けて、有力馬を選定するための前哨戦を指します。皐月賞では、近年「直行組」と呼ばれる、トライアルレースを経由せずに本番に臨む馬が活躍する傾向にありますが、トライアルレースで好成績を収めた馬も侮れません。競馬ファンの方は、皐月賞の予想をする際に、トライアルレースの結果も参考にしてみてはいかがでしょうか。