上場 廃止 候補

投資家の皆様、ご注意ください！上場廃止候補企業が急増？その背景と今後の展望

「投資家の皆さま、ご注意ください。」東京証券取引所（東証）がこのようなメッセージを大判広告で発信したことが、記憶に新しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。この広告は、日経平均株価の一時的な大幅下落にも少なからず影響を与えたという見方もあります。一体何が起こっているのでしょうか？

この記事では、現在注目を集めている「上場廃止候補」というキーワードを中心に、その背景、現状、そして今後の展望について詳しく解説します。投資家の皆様にとって、リスクを理解し、適切な判断を下すための重要な情報となるでしょう。

なぜ今、「上場廃止候補」が話題になっているのか？

その答えは、東証が2022年4月に行った市場区分の見直しにあります。この見直しは、プライム、スタンダード、グロースという3つの市場区分を設け、それぞれの市場に上場するための基準を明確化することを目的としていました。

しかし、移行期間として設けられた「経過措置」が、2025年3月31日に終了を迎えたのです。つまり、猶予期間が終わり、新たな上場維持基準が厳格に適用されることになったのです。

日本取引所グループのウェブサイトにも、この市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の情報が掲載されており、その重要性が伺えます。

日本経済新聞の記事によれば、この「経過措置」の終了により、なんと200社を超える企業が上場廃止のリスクにさらされているとのことです。これは、決して無視できない数字です。

上場維持基準とは？何が問題なのか？

上場維持基準とは、企業が証券取引所に上場を維持するために満たさなければならない様々な基準のことです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

• 流通株式時価総額: 市場で自由に取引できる株式の時価総額が一定額以上であること。
• 株主数: 一定数以上の株主が存在すること。
• 利益: 一定期間にわたって安定した利益を上げていること。
• 事業継続性: 企業の事業が継続的に運営されていること。

これらの基準を満たせない場合、企業は上場廃止となる可能性があります。特に今回の市場区分見直しでは、これらの基準がより厳格化されたため、多くの企業が対応に苦慮している状況です。

上場廃止リスクを抱える企業はどんな状況？

上場維持基準を満たせない企業は、具体的にどのような状況に置かれているのでしょうか？

• 資金調達の困難化: 上場廃止となると、株式市場からの資金調達が極めて困難になります。
• 企業イメージの低下: 上場廃止は、企業の信頼性やブランドイメージを大きく損なう可能性があります。
• 株価の下落: 上場廃止が決定されると、株価が大幅に下落する可能性が高くなります。

これらのリスクを回避するため、企業は様々な対策を講じる必要に迫られています。

上場廃止回避のために企業が取り組むこと

上場廃止の危機に瀕した企業は、生き残りをかけて様々な対策を講じます。

• 事業再編: 不採算事業からの撤退や、新たな事業への進出など、事業構造を抜本的に見直す。
• コスト削減: 徹底的なコスト削減を行い、収益性を改善する。
• M&A (合併・買収): 他の企業との合併や買収を通じて、企業規模を拡大し、経営基盤を強化する。
• TOB (株式公開買付け): 親会社による子会社の完全子会社化や、経営陣による自社株買いなど、株式の集約を図る。

これらの対策が功を奏し、上場維持基準をクリアできる企業もあれば、残念ながら上場廃止の道を辿る企業もあります。

TOBの増加と親子上場解消の動き

近年、特に注目されているのが、TOBによる親子上場解消の動きです。これは、親会社が上場している子会社の株式を買い集め、完全子会社化することで、グループ全体の経営効率を高めることを目的としています。

企業分析を行っているkigyoubunseki2024氏の分析によれば、2025年内にTOBが行われる可能性が高い企業として、親子上場を解消し、経営効率化を図る企業がいくつか挙げられています。

親子上場は、親会社と子会社の利益相反の問題や、経営の透明性の欠如など、様々な課題を抱えていることが指摘されています。そのため、市場区分の見直しを機に、親子上場を解消する動きが加速していると考えられます。

山陽特殊製鋼の上場廃止事例

実際に、日本製鉄による株式公開買付け（TOB）が成立したことを受け、山陽特殊製鋼が2024年4月23日付で上場廃止となりました。このように、TOBは上場廃止の直接的な要因となることがあります。

投資家が注意すべきポイント

上場廃止リスクを抱える企業への投資は、非常にハイリスク・ハイリターンな投資と言えます。投資家は、以下の点に注意し、慎重に判断する必要があります。

• 企業の財務状況: 企業の財務諸表を詳細に分析し、収益性、安全性、成長性を評価する。
• 経営戦略: 企業の経営戦略を理解し、その実現可能性を判断する。
• 市場環境: 企業の属する業界の動向や競争状況を把握する。
• リスク管理: 投資額を分散し、リスクを最小限に抑える。

特に、上場廃止が決定された場合、株価が大幅に下落する可能性があるため、注意が必要です。

上場廃止銘柄の情報源

上場廃止に関する銘柄情報は、日本取引所グループのウェブサイトで確認することができます。上場廃止決定日の翌営業日までに掲載されるため、定期的にチェックすることをおすすめします。

東証プライム市場からの降格予備軍ランキング

会社四季報オンラインでは、東証プライム市場からの降格予備軍となる企業のランキングが掲載されています。これは、プライム市場の上場維持基準を満たしていない企業をリストアップしたもので、投資判断の参考になるでしょう。

まとめ：変化の時代を生き抜くために

東証の市場区分見直しと「経過措置」の終了は、日本の株式市場に大きな変化をもたらしています。上場廃止リスクを抱える企業が増加する一方で、企業は生き残りをかけて様々な対策を講じています。

投資家は、これらの変化を常に把握し、リスクを理解した上で、慎重な投資判断を下す必要があります。情報収集を怠らず、変化の時代を生き抜きましょう。

今回の記事が、投資家の皆様にとって有益な情報となることを願っています。