点検商法

「年収1億円も夢じゃない？」巧妙化する点検商法の実態と対策

近年、「点検商法」と呼ばれる悪質な商法が再び注目を集めています。特に、住宅の屋根や床下などを対象とした点検をきっかけに、高額な修理や工事を強引に契約させる手口が横行しており、消費者からの相談が後を絶ちません。読売テレビ NEWS&WEATHERの報道によれば、年収1億円も可能と謳い、巧妙な手口で消費者を騙していたとされる「トクリュウ」（匿名・流動型犯罪グループ）のリーダーとみられる男が逮捕されるなど、その実態は深刻さを増しています。今回は、この点検商法の現状、手口、そして対策について詳しく解説します。

点検商法とは？甘い言葉に潜む危険

点検商法とは、業者側が「無料点検」などと謳い、消費者の自宅に訪問し、点検作業を行います。その後、実際には問題がない箇所をあたかも深刻な状態であるかのように虚偽の報告をしたり、消費者の不安を煽ったりすることで、高額な商品購入、工事契約や役務提供契約を勧める悪徳商法です。

愛知県弁護士会のウェブサイトでは、点検商法を「不要かつ不当な工事を不当に高額な金額で契約させる消費者被害」と定義しています。国民生活センターにも、訪問販売によるリフォーム工事や点検商法に関する相談が多数寄せられており、その手口は巧妙化の一途を辿っています。

なぜ今、点検商法が問題になっているのか？

高齢化が進む日本では、住宅の老朽化が進んでおり、リフォーム需要が高まっています。しかし、高齢者の中には、住宅に関する知識が乏しい方も多く、悪徳業者にとって格好のターゲットになりやすいという背景があります。また、近年では、SNSなどを通じて情報が拡散しやすくなったため、悪徳業者の手口も多様化し、巧妙化していると考えられます。

逮捕事例から見る点検商法の実態

読売テレビ NEWS&WEATHERの報道によれば、逮捕された男は、「トクリュウ」と呼ばれる匿名・流動型犯罪グループのリーダーとみられており、点検商法によって得た金銭を現金で受け取り、履歴を残さないようにしていたとのことです。年収1億円も可能と謳っていたことからも、組織的に、かつ大規模に点検商法を行っていた可能性が示唆されます。

FNNプライムオンラインの記事では、リフォーム会社「新日立建託」のオーナー・斎藤大器容疑者（33）が、社長の西村元貴被告（27）らと共謀し、屋根の修繕工事の契約を結ぶ際、クーリングオフができないようにするために虚偽の説明をしていたことが報じられています。「法律ギリギリをやる」とアルバイトの面接で豪語していたことからも、悪質な手口で利益を追求していたことが伺えます。

点検商法の主な手口

警視庁のホームページや国民生活センターの情報などを参考に、点検商法の主な手口をまとめました。

• 無料点検を謳い訪問する: 「無料で点検します」と電話や訪問で勧誘し、消費者の警戒心を解きます。
• 不安を煽る: 屋根や床下などの普段見えない箇所を点検し、「このままでは大変なことになる」「すぐに修理が必要だ」などと不安を煽ります。
• 高額な契約を迫る: 修理や工事が必要であると強調し、相場よりもはるかに高額な契約を迫ります。
• クーリングオフを妨害する: クーリングオフ制度について説明しなかったり、虚偽の説明をしてクーリングオフをさせないようにしたりします。
• 強引な契約: 消費者が契約を渋ると、「今すぐ契約しないと手遅れになる」などと脅迫的な言葉で契約を迫ります。

点検商法に遭わないための対策

点検商法から身を守るためには、以下の点に注意することが重要です。

• 訪問販売には警戒する: 見知らぬ業者からの訪問には、安易に応じないようにしましょう。
• 無料点検の言葉に惑わされない: 無料点検を謳う業者の中には、悪質な業者が潜んでいる可能性があります。
• 複数の業者に見積もりを依頼する: 修理や工事が必要な場合は、複数の業者に見積もりを依頼し、相場を把握するようにしましょう。
• 契約は慎重に: 契約内容を十分に確認し、納得した上で契約するようにしましょう。
• クーリングオフ制度を利用する: 契約後でも、一定期間内であればクーリングオフ（契約解除）が可能です。
• 不安な場合は専門機関に相談する: 少しでも不安を感じたら、消費者センターや弁護士会などの専門機関に相談しましょう。

もし被害に遭ってしまったら？

もし点検商法によって被害に遭ってしまった場合は、泣き寝入りせずに、すぐに以下の機関に相談しましょう。

• 消費者ホットライン: 188（いやや！）
• 警察相談専用電話: #9110
• 弁護士会: 各都道府県の弁護士会に相談窓口があります。

点検商法の背景にあるもの：高齢化社会と情報格差

点検商法が横行する背景には、日本の高齢化社会と情報格差が深く関わっています。高齢者は、住宅の老朽化が進みやすい一方で、リフォームに関する知識が乏しい傾向があります。また、インターネットを使いこなせない高齢者も多く、悪徳業者の情報にアクセスしにくいという問題もあります。

このような状況を改善するためには、高齢者向けの住宅に関する情報提供を充実させることや、悪徳商法に関する啓発活動を強化することが重要です。

今後の展望：法規制の強化と消費者教育の推進

点検商法のような悪質な商法を根絶するためには、法規制の強化が必要です。例えば、クーリングオフ制度の適用範囲を拡大したり、悪徳業者に対する罰則を強化したりすることが考えられます。

また、消費者教育の推進も重要です。消費者が、悪徳商法の手口を知り、自ら身を守るための知識を身につけることができれば、被害を未然に防ぐことができます。

まとめ：賢い消費者になるために

点検商法は、巧妙な手口で消費者を騙す悪質な商法です。被害に遭わないためには、訪問販売には警戒し、契約は慎重に行うことが重要です。もし被害に遭ってしまった場合は、泣き寝入りせずに、すぐに専門機関に相談しましょう。

私たちは、賢い消費者になるために、常に情報を収集し、知識を身につける必要があります。悪徳商法に騙されないように、日頃から注意を払い、安全で安心な生活を送りましょう。