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楽天市場がPB「Rakuten Original」を初展開、EC戦略の新たな局面とは?

国内最大級のECサイト「楽天市場」を運営する楽天グループが、2025年12月、ついに待望のプライベートブランド(PB)「Rakuten Original(楽天オリジナル)」の展開を開始しました。水やマスクといった身近な日用品からスタートするこの新施策は、アマゾンやLINEショッピング、ヤフーと激化するEC市場における競争の行方を大きく左右する可能性を秘めています。

単なる商品展開の追加に留まらず、ユーザーの「buy button(購入ボタン)」獲得を狙った楽天の戦略的転換。その背景と今後の影響について、公式発表を基に深掘りします。

楽天市場、ついにPB市場に参入「Rakuten Original」とは?

2025年12月4日、楽天グループ株式会社は公式サイトにおいて、プライベートブランド「Rakuten Original」の展開を発表しました。これは、楽天市場として初の本格的なPB商品群となります。

公式発表のポイント

楽天のニュースリリースによれば、まずは「水」や「マスク」といった、生活に密着した定番品目から販売を開始。日経新聞の報道(2025/12/04)でも、楽天がPB販売を開始し、水やマスクなど日用品の拡充を図っていることが確認されています。

Yahoo!ニュースが配信した時事通信の記事でも、楽天GがPB商品を初展開したことが伝えられています。

この動きの最大の特徴は、その販売戦略にあります。 「 Rakuten Original 」は、原则上、同社のポイントサービス「Rakuten Points」が1ポイント=1円相当で利用可能な「楽天ポイント」会員向けの商品として展開されます。これは、ポイント還元率の高さを武器に、ユーザーの囲い込みを強化する楽天グループの基本方針そのもの。

ECフラットメントとポイントのマーケティング

なぜ今なのか?EC巨頭の「 פריベートブランド」戦略

アマゾンやその他のECサイトが独自ブランドを次々と展開する中、なぜ楽天は今、PBに乗り出したのか。その背景には、確固たる戦略的意図があります。

1. 付加価値と利益率の向上

第三方の商品を扱う代理店ビジネスには、販売手数料(仕入原価)が発生します。一方、PB商品は自社で企画・開発・販売するため、通常の商品より利益率を高めやすいというメリットがあります。得られた利益を、さらなるサービス向上やポイント還元に充当し、競争力を強化する好循環を生み出すことが可能です。

2. ユーザーの囲い込み(ロイヤリティ向上)

「Rakuten Original」が楽天ポイント利用可能という条件であれば、ユーザーはより一層、楽天市場内で完結した買い物をしようという動機づけが働きます。ポイントを貯めること、使うことを両面で促進する「ポイント経済圏」の強化が狙いです。

3. ラストワンマイルの最適化

Amazon Primeが「翌日配送」で競争優位성을築いたように、ECにおいて物流の効率化は死活問題です。PB商品を大量に仕入れ、在庫管理することで、配送ネットワークの効率化や、よりスピーディーな配送サービスへの布石となる可能性も指摘されています。

EC市場の激震と影響:アマゾン、そしてRakutenの逆襲

楽天市場のPB参入は、国内EC市場に大きな波紋を広げています。特に注目すべきは、競合他社との比較です。

アマゾンとの「プライベートブランド」戦力差

アマゾン・ジャパンは、「Amazon Basics」や「Amazon Collection」など、すでに多くのプライベートブランドを成功させています。特に日用品や家電分野では低価格・高品質な商品で支持を集めています。楽天がPBを手掛けることは、まさにアマゾンの牙城に挑む意味合いが強いと言えるでしょう。

ライフスタイル系ECとの差別化

一方、LOHACO(ディー・ディー・エム)やWowma!(au)など、ライフスタイル系ECサイトもPB強化に力を入れています。楽天はその庞大的なユーザー数と、Rakuten CardやRakuten Mobileといったフィンテック・モバイル分野とのシシナジーを活かし、他社にはない「総合的な利便性」で勝負する構えです。

EC市場の競争と比較

直近の影響と今後の展望:ユーザーにとってメリットは?

楽天市場のPB展開が、ユーザーとショップ運営者にどのような影響を与えるか、現状と未来を予測します。

ユーザー視点:価格と品質、ポイント還元のトレードオフ?

ユーザーにとって、PB商品の登場は「選択肢の増加」というメリットがあります。特に、ポイント還元率を重視する楽天ユーザーにとっては、高いポイントが貯まる・使える商品は魅力的です。 しかし、注意点もあります。PB商品が強まると、既存の一般品牌(ナショナルブランド)の商品が、販売優先順位や露出機会で劣後する可能性があります。結果として、ユーザーが欲しい商品が見つけにくい「ECサイト内での迷路化」を招くリスクも孕んでいます。

ショップ運営者視点:影響は慎重に見守る

楽天市場内で販売しているショップ(店舗)にとって、楽天自社のPB「Rakuten Original」は「親の敵」のような存在になり得ます。 例えば、マスクを販売しているショップがあったとします。同じマスクを、楽天が自社ブランドとして、より安く、より多くのポイントを付与して販売した場合、既存ショップの売上は圧迫される可能性があります。 これは、AmazonがOwn Brand(自社ブランド)を展開した際にも同様の指摘がなされており、ECモール運営と出品者の利益相反という構図を生み出しています。今後、楽天がPB商品の広告表示などを強化した場合、既存ショップとの兼ね合いが大きな論点となるでしょう。

今後の展望:品揃えの拡大と「Rakuten Pay」への展開

現在は水やマスクなどの日用品スタートですが、今後は衣料品、食品、さらには家電製品や家具など、品揃えを急速に拡大させる可能性が高いです。 また、AnyPay