ベネチア

『博士ちゃんSP』が示す、水の都・ヴェネチアの最新事情。杏と世界遺産博士ちゃんが緊急視察で見えた未来

世界中から愛される観光地、イタリアのヴェネチア。その美しい水路と歴史的な建造物は、今、大きな転換点を迎えています。2025年12月、人気番組『博士ちゃんSP』のメインキャスターである杏（あん）と、世界遺産博士ちゃんが再びタッグを組み、この水の都の「今」を緊急視察しました。

この放送は、単なる観光案内ではありません。規制の強化、環境問題、そして地元の声。世界遺産であるヴェネチアが直面する現実と、そこから見えてくる旅の楽しみ方の新しいヒントを、私たちに投げかけます。本記事では、『博士ちゃんSP』の放送内容や報道記事を基に、ヴェネチアの最新動向を深掘りします。

杏と世界遺産博士ちゃんが見た、変化する水の都のリアル

2025年12月27日に放送された『博士ちゃんSP』（テレビ朝日系）の特集は、杏と世界遺産博士ちゃんがヴェネチアを再訪するという内容でした。前回の訪問から時間が経ち、この街にはどのような変化が起きていたのでしょうか。

『博士ちゃんSP』の緊急視察の舞台裏

-au WebポータルやYahoo!ニュースなどの報道によると、今回の特集のテーマは「水の都・ヴェネチアの“今”を緊急視察」。\ -視察の様子は、2025年12月27日放送の『博士ちゃんSP』でオンエアされました。

杏と博士ちゃんが最初に驚いたのは、街の様子の変化です。以前は多くの観光客で賑わっていたサン・マルコ広場や、ゴンドラが行き交う大运河。しかし、近年、ヴェネチア市は観光客の流入を抑制するための措置を段階的に強化しています。

特に注目されているのが、2024年から始まった「入域税（入場料）」です。1日券として導入されたこの制度は、日中の観光客から一律で料金を徴収するというもの。これにより、ヴェネチアの「住みやすい街」への転換が進められています。

博士ちゃんが解説するには、「これは、過剰な観光公害（オーバーーツーリズム）を防ぐための世界的に見ても珍しい試みなんです。」

杏も、「確かに、以前に比べて混雑が和らいでいるように感じます。でも、その分、地元の方の生活が感じられる、素敵な時間になりました」と語っていました。

ヴェネチアの抱える深刻な問題を追及

この番組で彼らが向かった先は、観光客向けのエリアだけではありませんでした。マノーラ地区など、地元住民が暮らす区域を訪れ、そこでこそ見えた問題がありました。

それは「環境問題」です。ヴェネチアは海抜ゼロメートル地帯。地球温暖化による海面上昇と、大型クルーズ船の航行による波の影響で、頻繁に「アクア・アルタ（高潮）」が発生します。

博士ちゃんは、「このままでは、数十年後にはヴェネチアの半分以上が海に沈む可能性もあります」と指摘。大型クルーズ船の出入りが、街の土台や建物に及ぼす悪影響についても触れました。

杏も、「美しいヴェネチアを未来の子供たちに残すために、私たち観光客にできることは何なのか」と、視聴者に問いかけるような発言をしていました。それは、単なる観光バラエティを超えた、深い問題意識の表れでした。

ヴェネチアの現状を左右する「入域税」と「クルーズ船問題」

『博士ちゃんSP』で語られたヴェネチアの現状は、歴史的な背景と密接に絡み合っています。ここでは、番組内で取り上げられた2つの大きなテーマについて、詳しく解説します。

過剰な観光客を制限する「入域税」の導入

ヴェネチア市は、2024年4月から「入域税（Contributo di accesso）」を導入しています。これについて、朝日新聞の記事などでも触れられている通り、その目的は以下の通りです。

• 対象: 日中に市内中心部に入る日帰り観光客（宿泊客や一部の例外を除く）
• 目的: 観光客数の調整、環境保護、地元住民の生活環境の維持
• 効果: 混雑の緩和、ゴミの削減、街の持続可能性の確保

『博士ちゃんSP』でも、この制度の導入後、観光シーズンのピーク時でも以前のような「人でごった返す」状況がいくらか改善されたと報告されています。

しかし、これには反対意見もあります。観光業に依存している店舗や、ヴェネチアを自由に訪れたいと考える人々からは「行きにくくなった」という声も上がっています。杏と博士ちゃんが現地で見聞きした話題の中には、そうした葛藤も含まれていたようです。

歴史と文化を蝕む「大型クルーズ船」の影響

もう一つ、番組で深掘りされたのが「大型クルーズ船」の問題です。ヴェネチアの港は、長年、巨大なクルーズ船が停泊する場所として利用されてきました。しかし、その影響は計り知れません。

• 環境への影響: 船のエンジンから出る排ガス、そして航行時に発生する波が、歴史的な建造物の基礎を揺るがす原因に。
• 事故のリスク: 2019年には、クルーズ船が埠頭に衝突し、観光客らが負傷する事故も発生。

博士ちゃんは、「ヴェネチアは今、歴史的な建造物を守るための '最後の戦い' をしています」と語っていました。実際、欧州委員会やUNESCOからも警告を受けるなど、国際的な問題となっています。

この問題は、ヴェネチアに限らず、世界の歴史的な都市が抱える「観光と保護のジレンマ」を象徴しています。

杏と世界遺産博士ちゃんが教える、新しい旅の楽しみ方

では、このように変化の時期にあるヴェネチアを、私たちはどのように楽しめばよいのでしょうか。『博士ちゃんSP』で杏と博士ちゃんが提唱していた、新しい旅のスタイルをご紹介します。

「見学」から「共生」へ。旅の考え方を変える

従来の「観光」とは、あくまで他人事の「見学」でした。しかし、今後は場所や文化との「共生」が求められます。

番組内でも、杏は「美しい景色だけでなく、そこに暮らす人々の声を聞くことが大切です」と話していました。具体的には、以下のような行動が推奨されています。

1. 宿泊で街を支える: 日帰り客ではなく、宿泊客として滞在し、地元のホテルやB&Bでお金を落とす。
2. 地元の飲食店を利用する: 観光客向けの店だけでなく、地元の人たちが食べるようなレストランを選ぶ。
3. ルールを守る: ゴミを捨てない、水辺に飛び込まないなど、マナーを守ることで、街の美しさを保つ手助けをする。

世界遺産博士ちゃん曰く、「最高の旅とは、訪れた街を好きになり、その未来を応援