大阪

1,000 + Buzz 🇯🇵 JP
Trend visualization for 大阪

大阪・関西万博:経済効果3.6兆円と試算、黒字見通しで明暗が分かれる「レガシー」の行方

2025年、大阪・関西で開催が控えた「大阪・関西国際博覧会(以下、大阪万博)」。その準備は着々と進んでいる一方で、経済効果や会場跡地の活用をめぐる議論が活発化しています。NHKや朝日新聞などの報道によると、政府の試算では経済効果は最大3.6兆円に上る見通しであり、運営面では最大370億円の黒字を見込むという発表も行われました。しかし、この巨額のイベントがもたらす真の「レガシー(遺産)」とは何か。順風満帆に見える裏で、議論が深まっている大阪万博の現状と未来を徹底解説します。

大阪万博の現状:黒字運営と3.6兆円の経済効果試算

大阪・関西万博の運営主体である博覧会協会は、2025年4月13日から184日間の開催を見据えています。最も注目されているのは、その財政面です。

運営収支は最大370億円の黒字見通し

NHKニュースの報道によると、博覧会協会は開催に向けた運営収支について、最大370億円の黒字を見通しているとのことです。これは、入場料収入や企業からの展示料、広告収入などを想定した試算です。当初は新型コロナウイルス感染症の影響で収支が悪化する懸念もありましたが、入場販売の強化や企業支援の呼びかけにより、財務基盤の安定化に成功しつつあるようです。

政府試算:経済効果は3.6兆円

一方、琉球新報やその他の報道によれば、政府内では万博開催による経済効果の試算も公表されています。これが3.6兆円という規模です。これは、会場建設や運営に伴う需要や、国内外からの観光客の集客、関連産業の活性化によって生じる波及効果を指します。

この経済効果は、単にイベントが儲かることを意味するのではありません。大阪や関西地域のインフラ整備(新幹線や空港、道路など)の加速、そして観光産業の飛躍的な成長をもたらす原動力として、地域経済全体の活性化が期待されています。

国の検証委員会が動き出す:「レガシー」をどう残すか

経済的な成功は見通しとしてある一方で、国は万博開催後を見据えた「レガシー(遺産)」の検証を本格化させています。朝日新聞やYahoo!ニュースの報道によると、政府が設置した「万博レガシー検証委員会」が初会合を開き、議論が開始されたのです。

委員会の目的と議論の焦点

この委員会の最大のテーマは、「会場跡地の活用」です。大阪・関西万博の会場は、大阪湾上の人工島「夢洲(ゆめしま)」に建設されます。イベント終了後、この広大な土地をどう活用するかが、早急に解決すべき課題となっています。

委員会では、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致や、国際会議場、さらには住宅・商業施設への転換など、様々な選択肢が議題に上がる見込みです。しかし、その一方で、莫大な建設コストや維持管理費、環境への配慮など、慎重な検討が求められるテーマでもあります。

歴史的背景:大阪と万博の深い縁

大阪が万博開催地として選ばれたのは、単なる偶然ではありません。大阪はかつて、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)や1990年の国際花と緑の博覧会(花博)など、多くの国際博覧会を開催し、その成功を国内外に証明してきました。

特に1970年の大阪万博は、日本経済の高度成長期を象徴するイベントとして記憶に残っています。当時、日本は世界的な注目を集め、技術力と文化をアピールしました。この「博覧会の街」としての歴史が、再び大阪が選ばれる背景にあります。しかし、50年以上の時を経て、万博の形は大きく変わりました。今や単なる「見世物」ではなく、持続可能性(SDGs)やデジタル技術の活用、そして地域社会との共生が重視される時代です。

大阪のポジションと産業構造

現在の大阪は、製造業からサービス業、観光業へと産業構造を転換しています。特にインバウンド観光(訪日外国人旅行)の増加は著しく、コロナ禍以前には過去最高を更新し続けていました。万博開催は、この流れにさらに拍車をかける可能性があります。大阪・関西空港の利便性や、都市部への鉄道アクセスの良さは、強力なアピールポイントです。

経済効果の裏側:即効性と波及効果の違い

「3.6兆円」という数字の裏側には、どのようなインパクトがあるのでしょうか。経済効果は、主に以下の3つの段階に分けて考えることができます。

  1. 建設・設備投資効果: 会場建設や関連施設の整備に伴う雇用や材料調達による効果。これは最も直接的で早期に発生します。
  2. 開催中の需要創出効果: 入場者や関係者による飲食、宿泊、交通、物販などの消費。これが地域の小規模事業者に直接的な利益をもたらします。
  3. 誘発投資・レガシー効果: 万博開催をきっかけに誘致される新規企業の進出や、IR(統合型リゾート)事業など、開催後も持続的に利益を生む投資。

特に注目すべきは、 tourism(観光)の持つ力です。万博期間中には、海外から150万人以上、国内から1150万人以上の入場者を見込んでいます。これらの人々が関西各地を回ることで、京都や奈良、神戸など周辺地域への波及効果も期待できます。

大阪 関西万博 夢洲 イラスト

課題とリスク:巨額の投資は無駄にならないか

成功の一方で、リスクもまた存在します。最も大きなリスクの一つは、莫大な建設コストの回収です。人工島の造成や展示館の建設には巨額の予算が投じられています。もし入場者数が予想を下回れば、黒字化は困難になります。

また、環境への影響も懸念点です。人工島の造成は、海洋生態系に影響を与える可能性があります。さらに、万博終了後の跡地活用が煮詰まらなければ、広大な「無人の土地」が残る最悪のシナリオも考えられます。政府の検証委員会が、このリスク管理を 어떻게進めるかが、今後の鍵となります。

住民合意の重要性

IR誘致を含む跡地活用には、地元住民や大阪府民の合意が不可欠です。カジノを含む施設は、社会的な問題(依存症や治安悪化など)を引き起こす可能性もあり、慎重な議論が求められます。万博そのものの成功以上に、その後の土地利用が地元に恩恵をもたら