預金金利引き上げ

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円安進行に乗じた追加利上げ:預金金利の上昇がもたらす「貯蓄の恩恵」と「ローンの負担」のジレンマ


主な出来事:日銀の利上げが金融機関に連鎖的に波及

2025年後半から2026年初頭にかけて、日本の金融市場は「利上げ」というキーワードに包まれている。特に注目されているのは、円安進行を背景にした日銀の金融政策の転換——そしてそれに続く民間銀行の預金金利引き上げ動きだ。

2025年12月22日、ロイター通信はコラムで「日銀に好都合な『円安進行受け追加利上げ』のサイクル」と題し、円安が輸入物価を押し上げインフレ圧力を高める中、日銀が利上げを進めることで、実質的な金融引き締め効果を得る構造を指摘した。この動きは、単なるインフレ対策ではなく、円安をある程度容認しつつ、過熱を防ぐ「バランス型利上げ」として機能していると分析されている。

その後、2025年12月23日には毎日新聞が「日銀 0.75%に利上げ」と報じ、政策金利の引き上げが正式に決定されたことを確認。これにより、長年の超低金利政策からの本格的な脱却が始まったと見る専門家も増えている。

そして2026年2月から、北國銀行と北陸銀行が「普通預金金利30年以上前の高水準へ」として、一般預金の金利を大幅に引き上げることを発表した(MRO北陸放送、Yahoo!ニュース掲載)。これは、地方銀行としては異例の動きであり、全国の金融機関にも波及効果をもたらす可能性がある。

日本銀行の窓口と利上げに関する金融政策のイメージ


最新情報:日銀の利上げと地方銀行の金利引き上げが現実化

2025年12月、日本銀行は政策委員会を開催し、政策金利を0.75%に引き上げる決定を下した。これは2008年の金融危機以降、最も高い水準への引き上げとなる。日銀は「物価安定と持続的・安定的な成長を実現するため、緩やかな利上げペースを維持する」と説明している。

この動きを受け、民間金融機関も次々と対応を発表。特に2026年2月から実施される北國銀行と北陸銀行の普通預金金利の引き上げは、年率0.25%前後まで上昇する見込み。これは1990年代初頭以来の高水準とされ、貯蓄家にとって久々の「プラス金利時代」の到来を意味する。

一方で、変動金利型の住宅ローンや個人向け融資の返済額が増加する懸念も広がっている。特に、2020年以降に低金利でローンを組んだ世帯では、金利の上昇が家計に直接影響を及ぼす可能性がある。


背景:超低金利政策からの転換、そして円安との関係

日本の金融政策は、2016年に日銀がマイナス金利政策を導入して以来、世界でも類を見ない「超低金利環境」が続いていた。その目的は、デフレ脱却と経済活性化を促すことだったが、長年の低金利は「貯蓄の価値を低下させ」「資産形成意欲を抑制する」という副作用も生んでいた。

しかし、2022年以降、世界的なインフレ圧力と円安進行が重なり、日本の消費者物価も上昇。2025年にはコアCPI(除く生鮮食品)が2.5%前後で推移し、日銀の「2%物価安定の目標」を継続的に上回る状況となった。

このような中、日銀は「円安を完全に阻止するのではなく、適度に容認しつつ、インフレの持続性を見極めながら利上げを進める」という戦略を取り始めた。ロイターのコラムでは、この動きを「円安進行を受けた追加利上げのサイクル」と表現し、「円安が輸入コストを押し上げ、それがインフレにつながり、日銀が利上げ→円高に転じる→一時的に円安圧力が緩和→再び円安進行」という循環構造が形成されていると分析されている。

つまり、利上げは単なる金融引き締めではなく、円高・円安の変動を利用した「戦略的政策」として機能しているのだ。


即時影響:貯蓄家に甘いニュース、借り入れ世帯に苦い現実

今回の利上げと預金金利の引き上げは、日本の家計に大きな影響を与える。

まず、貯蓄家にとっては朗報。
長年、普通預金の金利は0.001%前後と、ほぼ「無金利」状態が続いていた。しかし、北國銀行や北陸銀行の動きが全国の地方銀行や都市銀行に波及すれば、一般預金の金利は0.1%~0.3%台へと上昇する可能性がある。1,000万円の預金で年間2万~3万円の利息が得られる時代が戻ってくるかもしれない。

また、定期預金や外貨預金、MMF(マネーマーケットファンド)など、利回りの高い金融商品への関心も再燃している。金融機関は「資産形成支援」を前面に出し、新たな顧客獲得戦略を展開中だ。

一方で、借り入れ世帯にとっては悪材料。
特に、変動金利型の住宅ローンを組んでいる人々にとって、返済額の増加は避けられない。例えば、3,000万円のローンで金利が0.5%上昇すれば、月々の返済額は約1万5,000円増加する計算になる。これは、インフレによる物価高と重なり、「二重の負担」となる可能性がある。

また、中小企業の資金調達コストも上昇。設備投資や雇用拡大に慎重になる動きが広がれば、経済全体の成長鈍化リスクも指摘されている。

住宅ローンの返済額が増加する様子を表すイメージ


今後の展望:「利上げの波」は続く? 日本経済の新たなフェーズへ

今後の金融政策の動向は、国内外の経済情勢に大きく左右される。

まず、日銀の今後の利上げペース。
日銀は「緩やかなペースで利上げを継続する」と表明しているが、2026