サンライズアース

サンライズアース、屈腱炎で有馬記念回避——「復活への道は9カ月以上」石坂調教師が明かす

グランプリレース直前に突如回避

2025年12月23日、競馬界に衝撃が走った。来る12月28日に中山競馬場で開催される日本競馬界最高峰のGⅠレース「有馬記念」に出走を予定していたサンライズアース（牡・4歳・栗毛）が、右前肢屈腱炎を発症したため、同レースを回避することが正式に発表された。このニュースは、多くのファンや関係者にとって「信じられない」とさえ言われる事態だった。

サンライズアースは今年5月に阪神大賞典（GⅡ）を制し、重賞初制覇を果たした注目株。豊富なスタミナと粘り強い脚質で長距離戦を得意とし、今シーズンのジャパンカップ（11月）では15着と不振に苦しんだものの、その後の調整を経て有馬記念への臨陣態勢を整えていた。しかし、12月21日に右前肢の屈腱炎が発覚し、3日後の23日に石坂公一調教師（栗東）が記者団に「全治9カ月以上」と診断されたことを明らかにした。

「残念ですが仕方ないです。仕方ないといえる仕事を厩舎スタッフはしてくれました」と石坂師は語った。さらに、「サンライズペガサスのように復活させられれば」とも述べ、過去に同厩舎で屈腱炎から完全復活を遂げた名馬への言及で、心の中の思いを垣間見せた。

最新情報と公式発表の経緯

公式発表によると、サンライズアースの屈腱炎は12月21日に発覚。当初は軽度の炎症と判断されたものの、精密検査の結果、治療とリハビリに長期を要することが判明した。そのため、12月23日に「有馬記念出走回避」を正式に発表。これにより、同馬が登録していた菊花賞3着馬・エキサイトバイオ（牡・3歳・今野厩舎）が繰り上がりで出走資格を得ることになった（日刊スポーツ、サンスポ、スポニチより）。

石坂調教師は、オーナーおよび生産牧場と密に連携しながら今後の療養プランを策定中であると説明。「1年を考えています。いい休養と捉えます」とも強調し、無理な早期復帰は避ける姿勢を明確にした。

なお、屈腱炎は競走馬にとって最も深刻な故障の一つ。特に前肢の屈腱は走行時に大きな負荷がかかる部位であり、再発リスクも高いため、慎重な管理が不可欠だ。過去には多くの名馬がこの故障で引退に追い込まれており、サンライズアースの今後が国内外の注目を集めるのは当然のことだ。

サンライズアースとは？——そのルーツと軌跡

サンライズアース（欧字名：Sunrise Earth）は、2021年2月6日に生まれた牡馬。父は米国で活躍した種馬・レイデオロ、母はフランス産マー・シャンドランジュ。馬主は「ライフハウス」、生産者はノーザンファームなどが関与しており、現在は石坂公一厩舎（栗東）所属。

デビュー戦は2024年1月の小倉芝1800メートルで、3着と好走。その後、2025年5月の阪神大賞典（芝2000メートル）で重賞初制覇を果たし、一躍注目を集めた。この勝利は、単なる「地元馬の活躍」ではなく、長距離路線への適性も見込ませる内容で、その後の有馬記念登録につながった。

また、血統的には、母系にフランスの名門サラブレッドが通じており、柔軟なステップと持久力を兼ね備えた馬体つき。最終馬体重は530kgと、中肉でありながらも丈夫な骨格を持つことが評価されている（netkeiba、競馬ラボ、Pog-infoより）。

屈腱炎とは何か？——なぜこんなに危険なのか

競走馬における「屈腱炎」は、文字通り「腱が炎症を起こす」状態を指す。特に前肢の浅指屈筋腱（shallow digital flexor tendon）は、走行中に地面からの衝撃を吸収し、推進力を生み出す重要な役割を担っている。そのため、一度損傷すると回復に時間がかかり、再発率も非常に高い。

専門家によれば、軽度の炎症であれば3～6カ月で復帰可能な場合もあるが、今回のサンライズアースの場合、「9カ月以上」と診断されたことから、中等度以上の損傷が疑われる。石坂調教師が「1年を考えている」と発言した背景には、完治までの確実な期間確保と、将来の競走生活を見据えた長期戦覚悟がある。

過去には、ダイワメジャー、キタサンロック、サンライズペガサスなど、多くの名馬が屈腱炎からの復活を果たしているが、その過程は常に「リスクとの戦い」だ。特にサンライズペガサスは、2018年の皐月賞後に屈腱炎を発症し、約1年半のブランクを経て2020年の天皇賞（春）で快挙を飾った。石坂師がその名を挙げたのは、単なる比喩ではなく、現実的な希望の象徴としての意味合いが強い。

有馬記念への影響と競馬界の反応

サンライズアースの回避は、有馬記念のレース構図に大きな影響を与えた。本来なら「長距離 specialists（専門馬）」として期待されていた彼の不在により、レースの展開がよりスピード重視に傾く可能性がある。また、繰り上がりで出走が決定したエキサイトバイオは、菊花賞での3着が評価され、今回のGⅠ挑戦が注目される。

一方で、ファンの間では「もったいない」「早く元気になってほしい」といった声が多数寄せられている。SNS上では「#サンライズアース 応援」のハッシュタグがトレンド入りし、多くの人がその回復を願っている。

競馬評論家の間でも、「屈腱炎からの復活は奇跡的」との見方が強く、今後の療養期間中の経過観察が重要だと指摘されている。また、馬主側も「無理な復帰はせず、馬の健康を最優先に」との姿勢を示しており、倫理的な競馬運営が問