環境性能割
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自民党と国民民主党が合意、「環境性能割」廃止へ…EV時代の自動車税制は混乱の只中
2025年12月、日本の自動車産業とユーザーの未来を左右する重要な発表が相次ぎました。特に注目を集めたのが、自民党と国民民主党が、車購入時にかかる「環境性能割」の廃止で合意した点です。これは単なる税制改正ではなく、EV(電気自動車)やハイブリッド車など、次世代自動車への移行が加速する中で、日本の税制がどのような方向性を目指すのかを示す転換点となり得ます。
一方で、環境性能割の廃止と並行して、EV重量税の新設や補助金の見直しという、一見矛盾する政策も議論されています。これらの動きは、自動車オーナーや購入予定者にどのような影響を与えるのでしょうか。最新のニュースを徹底追跡し、その背景と今後の見通しを解説します。
焦点は「廃止」か「新設」か?環境性能割を巡る最新動向
ここ数ヶ月で、自動車関連の税制と補助金を巡る状況は目まぐるしく変化しています。中心にあるのは、2025年度税制改正大綱への影響です。
自民党・国民民主党合意のポイント
時事ドットコムの速報(2025年12月18日)によれば、自民党と国民民主党は、車購入時にかかる自動車税と軽自動車税の「環境性能割」を廃止することで合意しました。
【速報】自民党と国民民主党は、車購入時にかかる自動車税と軽自動車税の「環境性能割」の廃止で合意した — 時事ドットコム (@jiji_dot_com) December 18, 2025
この合意は、国民民主党が掲げてきた「ガソリン税の暫定税率廃止」や「自動車諸税の見直し」という要求を踏まえたものです。環境性能割は、2019年10月の消費税率引上げに伴って創設され、燃費性能に応じて税額が加算される仕組みでしたが、制度開始以来、国民の負担増を懸念する声が後を絶ちませんでした。特に、コロナ禍や物価高騰を経て、家計への負担軽減を求める声が強まる中での合意となりました。
補助金の見直しと「公平性」の議論
一方で、読売新聞オンライン(2025年12月17日)は、「エコカー補助金」の見直しについて報じています。これは、日米関税合意に基づき、公平性を確保するためのものです。具体的には、EVへの補助金は最大40万円増額される一方で、燃料電池車(FCV)やプラグインハイブリッド車(PHV)への補助は大幅に減額される方向です。
【エコカー補助金】見直しへ、EV40万円増・燃料電池車は大幅減…日米関税合意に基づき「公平性」確保 — 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) December 17, 2025
この背景には、米国で導入されているインフレ抑制法(IRA)への対応や、日本のEV産業競争力の強化があると見られています。しかし、環境性能割の廃止とEV補助金の増額という、一見相反する政策が並行して進められることに、政策のちぐはぐ感を指摘する声も上がっています。
混乱の背景:EV重量税導入の可能性と補助金の有無
この一連の動きを理解するために、もう一つの重要なニュースを押さえておく必要があります。日経電子版(日本経済新聞)が報じた、「EV重量税」の導入検討です。
「環境性能割」と「EV重量税」の矛盾
日本経済新聞の記事(2025年12月)は、国がEV向け補助金を増額する一方で、EV重量税の導入も検討していると指摘しています。これは、EVは従来のガソリン車に比べて車重が重いため、道路への負荷が大きいという理由に基づくものです。
しかし、この政策は一見矛盾しています。 * 購入時: 環境性能割が廃止され、EV補助金が増額される(購入しやすくなる)。 * 保有時: EV重量税が新設される(維持費が高くなる)。
これについて、日経は「政策にちぐはぐ感」と評しました。ユーザーからすれば、「エコカー購入を推進するなら、維持コストも考慮してほしい」という声が自然に湧き上がります。政府・与党は、この「ちぐはぐ感」をどう解消するのかが、今後の課題となります。
補助金の目的とその行方
読売新聞の記事にあるように、補助金の増額は「公平性」確保が名目です。これは、外国製EVに対して国内製EVが不利にならないようにする措置です。しかし、FCVやPHVへの補助減額は、日本の自動車メーカーが長年手掛けてきた技術分野への打撃となる可能性もあります。
特に、トヨタ自動車などが燃料電池技術に力を入れていることを考慮すると、これは単なる税制の問題だけでなく、産業政策の大きな転換点でもあります。
歴史的背景:環境性能割とは何か?
「環境性能割」は、2019年10月の消費税率8%への引上げに伴って導入されました。それまで「軽減税率」として扱われていた自動車関連税を、より細かく区分けし、燃費の良い車には税負担を軽減し、燃費の悪い車には追加負担を求めるという、環境配慮型の税制としてスタートしました。
しかし、制度導入後、すぐに新型コロナウイルス感染症の拡大による経済危機や、2022年からの円安・物価高騰により、国民の生活は逼迫しました。特に車の購入は、多くの家庭にとって大きな出費です。その中で、数千円〜数万円単位の「環境性能割」が、購入意欲を阻害しているとの批判が、国民民主党をはじめとする野党や、与党内部からも上がっていました。
自動車業界とユーザーの声
自動車販売店などでは、「エコカーの普及を促進するなら、購入時の税金は₌0が理想」という声もあります。実際に、電気自動車(EV)はエンジンオイルなどのメンテナンスコストが低い反面、初期費用(車両価格)が高いというデメリットがあります。この初期費用を下げるためには、税制優遇や補助金が不可欠です。
一方で、ガソリン車ユーザーからすれば、「燃費が悪いからと重税を課すのは、生活スタイルによっては理不尽だ」という不満もあります。特に、地方在住者で公共交通機関が十分でない場合、車は必需品であり、燃費の良い車を買う余裕がない場合もあります。
経済・社会へのインパクト:今後、何が起こるか?
環境性能割の廃止とEV重量税の導入が決まった場合、私たちの生活や経済にどのような影響があるのでしょうか。
1. 車購入時のコスト削減効果
まず、一番のメリットは、新車