武豊

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有馬記念を制する「逃げ」の哲学:武豊騎手が狙う、最強馬との駆け引き

2025年12月28日、京都競馬場で行われる第66回有馬記念は、歴史的な「牝馬連覇」を狙うレガレイラと、強力な逃げ馬たちの壮烈な戦いが予想される最大のGIレースだ。その中心に常に存在するのが、日本の騎手界をリードする武豊(たけ・ゆたか)騎手である。

今年の有馬記念は、例年以上に「逃げ」の戦略が勝敗を分けると見られている。本稿では、武豊騎手の騎乗予定馬「ドウデュース」を中心とした、有馬記念前週の追い切り状況と、武豊騎手の確固たる騎乗哲学に迫る。

「最強の逃げ馬」が差し向ける、有馬記念の新構図

2025年有馬記念の最大の見どころの一つは、強力な逃げを得意とする馬が複数頭存在することだ。特に、武豊騎手が手綱を取る「ドウデュース」(1000万下条件勝ち)は、GIでも通用するほどの高いスピドと持久力を兼ね備えている。

Yahoo!ニュースの記事「【有馬記念】例年と違う「明確で強力な逃げ馬」2頭の存在」でも指摘されている通り、今年の有馬記念には「明確で強力な逃げ馬」が存在する。その一角を担うドウデュースの動向は、単なる1頭の馬というだけでなく、GIレース全体のペメイクを左右する大きな要素だ。

武豊騎手は、これまで数々のGIレースで「決め手」を活かす追込騎乗が有名だが、ドウデュースのようなスプリンター気質の馬を擁する場合、その真逆である「逃げ・先行」策をとる。この、馬の特性を最大限に活かす柔軟な判断が、武豊騎手の真骨頂である。

有馬記念 逃げ馬 走る姿

追い切りで確認された「良化」の兆候と戦闘モード

有馬記念が迫る中、各馬のコンディションは毎日のようにチェックされている。武豊騎手が騎乗するドウデュースを含め、有力馬の追い切り(追加調教)の状況が、ファンの注目を集める。

特に、ファン投票1位で牝馬初の連覇を狙う「レガレイラ」は、サンスポの記事「【有馬記念 1週前追い切り】ファン投票1位レガレイラは5ハロン66秒7-11秒3で併入」で報告されている通り、5ハロン(約1000m)を66秒7という好タイムで駆け抜け、最終の11秒3(1ハロンあたり)の末脚を繰り出した。これは、鞍上の川田将雅騎手が「(最終の)11秒3が出て、いい変化があればうれしい」と語る通り、絶好調のサインだ。

また、dメニューーニュースの記事「【有馬記念・1週前追い切り】牝馬初の連覇を狙うレガレイラは戦闘モードに突入へ」では、太田助手が「確実に良化してきていますね」とコメントし、レガレイラが「戦闘モード」に突入したことを示唆している。

これらの報告は、ドウデュースを含む出走馬たちが、有馬記念に向けてピークコンコンディションへと近づいていることを裏付けている。武豊騎手は、この追い切りデータを基に、レガレイラや他の強豪馬との駆け引きをどう演じるか、最終の采配を練りに練る。

武豊騎手の「逃げ」に見る、最強騎手のこだわり

「武豊の逃げ」と言われた時、我々が想起するのは、ただ漫然と先頭を走るだけではない。極限までペースを溜め、最後の直線で斤量の軽い若手騎手が仕掛ける隙を与えない、高度な計算に基づくペースメイクである。

今回のドウデュースは、尚未公開の血統情報や過去の戦績から、500kg台前半の軽い馬体と、高い瞬発力を持つとされている。武豊騎手は、この馬の持つ「スプリンターとしての锐さ」を活かすために、有馬記念の序盤、特に第3コーナー手前まで、如何に余力を残して走らせるかが鍵となる。

もしこの馬が、ハイペースの逃げを強いられた場合、終盤の粘りが怪しくなる。逆に、武豊騎手が「スローペース」を演出し、直線での一気のスパートを決めれば、レガレイラをはじめとする差し・追込勢力を封じる「完璧な逃げ切り」も不可能ではない。

有馬記念の歴史と「逃げ馬」の宿命

有馬記念は、中京競馬場で行われていた頃から、タフな馬場と長距離(現:2500m)が特徴のレースだ。歴史的に見ても、逃げ・先行が決まる年と、差しが決まる年が交互に訪れる傾向がある。

しかし、近年では「スローペースから末脚を合わせる」逃げ馬が台頭している。武豊騎手自身、過去に「エイシンフラッシュ」などで逃げを成功させた経験がある。武豊騎手の強みは、逃げを打つからといって、他馬の動向を無視しない点だ。もし、同じ逃げ脚質の馬が他にいた場合、率先してペースを引き上げ、相手を消耗させる「荒らし」に徹することもある。

今年の有馬記念は、レガレイラという「最強牝馬」が存在するがゆえに、武豊を筆頭とする逃げ馬の存在が、レースの展開を予測不可能な面白さへと導く。

今後の展望:武豊が描く「有馬記念制圧」への道筋

2025年有馬記念、武豊騎手が目指す勝利パターンは以下の通りである。

  1. 序盤の絶妙なペース調整: 出遅れることなく、かつ、他馬を引き離しすぎない「絶妙な逃げ」。
  2. 第4コーナーの立ち回り: 最も体力を消耗する第4コーナーを、如何に流さずに回るか。
  3. 直線でのスパート: 最終 Straight に差し掛かった瞬間、馬を溜めておいた余力で一気にスパート。

武豊騎手が狙うのは、単なる逃げではなく、「最強の先行馬」をOwnedするという演出だ。もし、ドウデュースがこの逃げを成功させれば、GI初勝利を飾るだけでなく、武豊騎手の「逃げの美学」を日本中に知らしめる結果となる。

一方で、リスクもある。もし、序盤から激しい追走を強いられ、スタミナが削がれた場合、直線で一気に失速する可能性は否定できない。他の強豪馬、特にレガレイラの川田将雅騎手が、武豊のペースをどう読み、仕掛けてくるかが最大の見どころだ。

まとめ

武豊騎手の有馬記念挑戦は、単なるGIレースの勝敗だけでなく、日本の競馬における「逃げ」の価値を問う一大イベントである。

追い切りで好コンディションを示したレガレイラの存在感は大きいが、武豊騎手が手綱を取る逃げ馬の存在が、このレースに新たな