育休

育休取得、仕事と子育ての両立を支える鍵：制度の仕組みから取得するためのポイントまで徹底解説

「仕事と子育てを両立したい」という思いは、多くの共働き夫婦が抱えるリアルな課題です。その実現には、欠かせない制度が「育児休業」、通称「育休」です。2022年10月から育休取得を促進するための法改正が施行され、社会的な関心が高まっています。しかし、「制度が複雑で分かりにくい」「取得ॠみに勇気がいる」という声も。この記事では、育休の基本的な仕組みから、取得するための具体的なステップ、そして今後の見通しまで、ビジネスパーソンに役立つ情報を網羅しました。

育休とは？その本質と取得の重要性

育児休業（育休）は、労働基準法に基づき、労働者が子育てに専念できるようにするための制度です。原則として、子どもの誕生日から8週間（56日）以内に取得し、原則1歳の誕生日まで取得できます。重要なのは、育休中に給与が支給されるわけではない点です。多くは、雇用保険から「育児休業給付金」が支給され、それまでの収入の約67％（一定の条件を満たせば50％）が補償されます。また、育休期間中は社会保険料が免除されるなど、経済的な負担軽減措置もあります。

育休取得の重要性は、単に個人のためだけではありません。企業にとっては、従業員の離職を防ぎ、優秀な人材を確保するための重要な施策です。社会全体としては、少子化が進む中で、働きながら子育てを実現するための基盤として位置づけられています。しかし、日本での育休取得率は、男性で約14％（2021年度厚生労働省調査）と、欧米諸国に比べて依然として低い水準にとどまっています。この背景には、「職場の風土」「取得への抵抗感」「制度の複雑さ」といった課題が存在します。

2022年改正と最近の動き：加速する育休制度改革

近年、育休制度は大きな転換期にあります。特に注目すべきは、2022年10月に施行された改正育児・介護休業法です。この改正は、育休取得率向上を目指し、企業側の義務化や支援措置を強化する内容となっています。

1. 男性の育休取得促進に向けた動き

改正法の目玉の一つが、「出生時育児休業（出生後8週間以内に取得する育休）」の創設です。これにより、子の出生後8週間以内に最大4週間（2回に分割可能）の育休が取得しやすくなりました。特に男性の取得促進を目指し、取得しやすい環境整備が進んでいます。また、育休の分割取得が可能となり、柔軟な取得が期待されています。

2. 企業側の義務化と36協定の見直し

企業には、育休取得に関する「周知・同意」の義務化が求められるようになりました。労働者から育休の申し出があった際、企業は取得妨害行為（「取得すると評価が下がる」「次の昇進に影響する」など）を禁止されています。さらに、育休取得を理由に解雇や不利益な取り扱いを行うことも禁止されています。また、育児休業等取得の状況を「36協定（時間外・休日労働に関する協定）」の届出に記載するよう義務づけられ、企業の対応が可視化される仕組みとなりました。

3. 企業独自の取り組みやサポートの強化

大企業を中心に、育休取得を支援する独自の制度を導入する企業が増えています。例えば、「育休取得後の復帰支援」「育休中もキャリアアップ研修への参加」「配偶者の育休取得を促進する制度」など、多様な取り組みが見られます。これらの動きは、企業の人事戦略として、Work-Life Balance（ワーク・ライフ・バランス）の実現に向けた一環でもあります。

育休取得の実際：手続きから復帰までの流れ

育休を取得するには、一定の手続きが必要です。具体的な流れを解説します。

① 申請と準備

育休を取得する場合、原則として「子の出生後8週間以内」に申し出る必要があります。会社に「育児休業申出書」を提出し、休業開始予定日と終了予定日を伝えましょう。この際、会社側は労働者からの申し出を拒否することはできません（労働基準法）。しかし、あらかじめ会社と相談し、スムーズな業務引き継ぎを進めておくことが重要です。

② 給付金と保険料の免除

育休中は、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。支給額は、休業開始から6ヶ月間は給与の67％、それ以降は50％（※条件により異なります）。申請は、ハローワークまたは労働基準監督署を通じて行います。また、健康保険や厚生年金保険料は、育休期間中は免除されます。手続きは、会社側が行うことが一般的です。

③ 復帰とその後

育休終了後は、原則として元の職場・職種に復帰する「復帰支援」が義務づけられています。育休中に業務が変わった場合や、異動・配置転換の可能性がある場合は、事前に会社と十分に確認しておきましょう。また、育休中に取得した資格やスキルを活かし、キャリアアップを目指すことも有効です。

【豆知識】育休取得の「あるある」エピソード 育休を取得した男性社員から、「最初は『パパの育児休業』と呼んでいたけど、最近では単に『育休』と呼ぶことが増えた」という声も。取得後の職場復帰を「再就職」と呼ぶ、などユニークな表現が生まれるほど、男性の育休取得が一般的になりつつあるようです。

育休取得の背景にある社会的・文化的要因

育休取得が進まない背景には、日本特有の社会的・文化的要因が複雑に絡み合っています。ここでは、その背景を掘り下げます。

1. 「長時間労働」と「育休取得」のジレンマ

日本では、長時間労働が常態化している職場が依然として多く存在します。育休を取得すると、業務が他のメンバーに振り分けられ、負担増が懸念されるケースも。そのため、「周りに迷惑をかける」という心理的負担から、取得を躊躇する社員も少なくありません。

2. 男性の育児参加への意識の変化

かつては「育児は女性の仕事」という意識が強かったものの、近年は共働き世帯が増加し、男性の家事・育児参加への期待が高まっています。政府も「男性の育休取得率30％」を目標に掲げ、意識改革を促しています。しかし、職場の風土や上司・同僚の意識が追いついていないケースも見られ、育休取得の足かせとなっています。

3. 企業の人事評価と育休

育休取得が人事評価に及ぼす影響は、企業の文化によるところが大きいです。取得ॠみに評