トランプ大統領

「チリのトランプ」当選で揺れる南米…不法移民強硬策掲げる右派政権誕生の行方

2025年12月、南米チリで行われた大統領選挙の決選投票において、右派候補のハビエル・マカイア氏（愛称：カスト氏）が勝利を宣言しました。移民問題を最重要課題に掲げ、「不法移民の追放」という強硬なメッセージで支持を集めたカスト氏の当選は、国内の安全保障政策の転換を意味するだけでなく、中南米全体に広がる政治的な「右傾化」の波を象徴する出来事として、国際社会からも大きな注目を集めています。

本記事では、カスト氏の勝利がもたらすチリ国内の変化、そして中南米の地政学的リスクについて、確かな情報源に基づいて詳しく解説します。

チリ大統領選の結果と「移民強硬策」の確立

選挙戦の争点とカスト氏の勝利

2025年12月14日に行われたチリ大統領選挙の決選投票は、移民問題を巡る対立構図が鮮明になりました。

Reuters によれば、右派候補であるハビエル・マカイア氏（カスト氏）が勝利を確実視していると報じられています。選挙戦を通じてカスト氏が掲げた最大の公約は、「不法移民の追放」など、移民に対する強硬な措置です。

この結果は、単なる国内政権交代に留まらず、治安悪化への国民の不満が、強硬な政策を求める政治家を支持する形で表れた結果と言えます。国民は、犯罪率の上昇や社会インフラの逼迫が移民の増加に起因していると認識し、現状打破を切望していたのです。

中南米における「右傾化」の波

カスト氏の当選は、チリ単体の問題として捉えるべきではありません。中央日報日本語版の分析 （Yahoo!ニュース） でも指摘されている通り、彼は「チリのトランプ」と呼ばれ、中南米で進む「右傾化」の象徴的な存在です。

近年、ブラジルやエルサルバドル、アルゼンチンなどにおいても、従来の左派政権に対する反発から、秩序と安全保障を強く掲げる右派・保守系のリーダーが相次いで台頭しています。カスト氏の勝利は、この地域全体に広がる「揺り戻し」の傾向を決定的なものしたと言えるでしょう。

チリ社会が直面する「移民問題」の実態

背景にあるベネズエラ難民の増加

なぜチリでは移民政策がこれほど大きな争点となったのでしょうか。その背景には、近隣国での深刻な経済・社会不安があります。

特にベネズエラからの大量の難民・移民の流入が、チリ社会に大きな影響を与えました。治安の悪化や雇用競争、教育や医療資源への負担増など、移住者を受け入れる側の国民にとっては切実な問題が山積していました。カスト氏は、こうした国民の不満に的確に応える形で、「不法入国者」の摘発と強制送還を公約の前面に打ち出しました。

読売新聞が指摘する「南米での右派勢力の揺り戻し」

読売新聞オンライン は、カスト氏の当選を「不法移民への強硬策掲げる」とし、南米での右派勢力の揺り戻し傾向が顕著になったと伝えています。

これは、過去数十年にわたり中南米で主流だった左派ポピュリズム（例えば、ベネズエラのチャベス政権やボリビアのモラレス政権など）が、経済失政や腐敗を招いた結果、有権者が現実的な経済運営と法秩序の回復を求めて反転した、という構図です。チリの新大統領は、この「反動」の波に乗って政権を獲得したのです。

カスト政権発足による Immediate Effects（即時的な影響）

国内治安政策の激変と人権問題への懸念

カスト氏が大統領に就任すれば、チリ国内の治安維持・移民政策は一変する可能性が高いです。

• 不法移民への強制措置: 公約通り、不法滞在者に対する大規模な摘発や強制送還が実施されるでしょう。
• 国境管理の厳格化: アルゼンジナやボリビアとの国境地帯での監視が強化され、入国審査が大幅に厳格化される可能性があります。

一方で、このような強硬なアプローチは、人権団体から「人道危機を引き起こす」という批判を招くリスクも孕んでいます。移民の権利をどう保護するか、バランスの取れた政策運営が新大統領に求められます。

国際関係への波及

中南米の国際関係においても、カスト政権の誕生は微妙な影響を与えます。 特に、左派政権が続く国々（例えば、メキシコやコロンビア、チリの隣国であるボリビアなど）とは、移民政策や価値観を巡って対立が深まる可能性があります。一方、米国や欧州の右派政権とは連携を深める動きが出てくるかもしれません。

Future Outlook（未来展望）：チリと中南米の行方

経済的な課題と「チリ・モデル」の行方

カスト氏は安全保障・治安面では強硬な姿勢を示していますが、経済政策においては、伝統的な右派の経済モデル（自由主義経済、市場原理重視）を継承する可能性が高いです。

チリは長年、中南米で最も安定した経済成長を遂げた「模范生」として知られてきました。しかし、格差是正を求める声も強く、カスト政権が格差是正策を軽視した場合、社会的な不満が再び高まるリスクがあります。如何に「安全」と「豊かさ」の両立を実現するかが、新政権の最大の試験となります。

中南米の地政学リスクの高まり

カスト氏の当選が示す最大のインパクトは、中南米の政治地図が「右」にシフトしたことです。もはや一つの傾向ではなく、地域全体のトレンドとして確立しつつある右傾化。

今後、この傾向が加速するか、あるいは左派の反撃が起きるかは不透明です。しかし、少なくとも今後数年間、チリを含む中南米では、移民問題や安全保障を巡る強硬な政策が主流になる可能性が高いでしょう。それは、地域全体の経済協力や、国際的な人�