エトミデート

「ゾンビたばこ」の危険性と実態／指定薬物「エトミデート」を巡る最新動向

近年、日本の社会問題として浮上しているのが、違法な覚醒剤の代わりとして蔓延している「ゾンビたばこ」です。その名の通り、吸うと人間の意識を奪うような強い幻覚作用や、手足がガクガクと震える「ゾンビ」のような状態を引き起こす危険な薬物として、特に若者たちの間で問題視されています。

そして2025年12月、この「ゾンビたばこ」の密輸に関与したとして、警視庁が男性を逮捕するという重大な事件が発生しました。この事件は、単なる違法薬物の密輸ではなく、指定薬物「エトミデート」という未知の成分が含まれた液体をボディーローションと偽って大量に輸入しようとした、極めて巧妙な手口が話題を呼んでいます。

本記事では、この「ゾンビたばこ」問題の最新動向や、その成分として疑われる「エトミデート」の実態、そして社会に与える影響について、最新のニュース情報を基に詳しく解説していきます。

事件の概要：ボディーローションに隠された「ゾンビたばこの正体」

2025年12月10日、警視庁は、密輸入を企てたとして男を逮捕しました。容疑は、指定薬物の輸入禁止違反です。男は、香港から日本へ向けて発送された段ボール箱の中に隠された液体2.1キログラムを密輸入しようとした疑いが持たれています。

この液体、実は「ゾンビたばこ」と呼ばれる違法薬物の原料だった可能性が高いと見られています。特に注目すべきは、その成分に「エトミデート」という指定薬物が含まれていた点です。

読売新聞オンラインの記事より： 「『ゾンビたばこ』密輸容疑で逮捕、指定薬物『エトミデート』含む液体２・１キロをボディーローションとして発送」

このように、捜査関係者によれば、男はこの液体を「ボディーローション」として輸入申告していたとされています。この巧妙な手口は、近年増加している違法薬物の密輸事件と同様の傾向であり、摘発を逃れるための悪質な策略と取れません。

「ゾンビたばこ」とは何か？

この「ゾンビたばこ」とは、違法な覚醒剤の代わりに流通している、合成カンナビノイド（スパイスなど）や、今回発覚した「エトミデート」などの危険な成分を含んだ薬草のことを指します。吸うと、幻覚や幻聴、激しい不安感、そして手足の震え（振戦）などの症状を引き起こすことが報告されており、その危険性は非常に高いものです。

Yahoo!ニュースで配信されたテレビ朝日系（ANN）の記事では、以下のような実態が報告されています。

Yahoo!ニュースの記事より： 「『ゾンビたばこ』全国に拡大 『駐車場で売買』渋谷の若者 『常習性が強い』支援団体」

この報道にある通り、渋谷などの繁華街では、駐車場などでの闇取引が行われているとされ、特に若者を中心に広がりを見せています。その中毒性は非常に強く、一度手にすると抜け出しにくい危険な薬物とされています。

最新動向：警視庁の摘発と「エトミデート」とは？

今回の逮捕劇で最も注目されているのは、成分として疑われる「エトミデート」という物質の存在です。一体、これはどのような薬物なのでしょうか。

指定薬物「エトミデート」とは？

「エトミデート（Etomidate）」とは、本来は医療用麻酔薬として使用される成分です。短時間で効果が現れる麻酔薬として知られていますが、乱用された場合、深刻な健康被害を引き起こす危険性があります。

医療用としての使用とは別に、違法な場所で流通する「ゾンビたばこ」の成分として、このエトミデートが使われている可能性が指摘されています。しかし、医薬品としての使用以外での人体への影響は、未解明な部分も多く、未知の危険をはらんでいます。

警視庁の容疑では、男が輸入した液体2.1キログラムの中に、このエトミデートが含まれていたとしています。密輸入を企てた液体が、実際に「ゾンビたばこ」として市场に出回る前に摘発された形であり、社会に与えたインパクトは大きいものです。

暴力団の資金源との関係も

この種の違法薬物の密輸や販売には、暴力団が絡んでいる可能性も指摘されています。毎日新聞の記事では、以下のように報じています。

毎日新聞の記事より： 「『ゾンビたばこ』密輸容疑で男性を逮捕 暴力団の資金源か 警視庁」

このように、単なる若者の軽い遊びではなく、組織的な犯罪の一部として、暴力団の資金源になっている可能性も視野に入れておかなければなりません。この問題は、薬物乱用の問題と並行して、組織犯罪との関係も深く、社会全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。

「ゾンビたばこ」の社会的影響と背景

なぜ、これほどまでに「ゾンビたばこ」が蔓延しているのでしょうか。その背景には、いくつかの社会的要因が考えられます。

1. 安価で手軽に手に入る

従来の覚醒剤やコカインなどに比べると、合成カンナビノイドや「エトミデート」を含む「ゾンビたばこ」は、比較的安価で手に入りやすいとされています。そのため、経済的に余裕のない若者などが手を出しやすい状況にあります。

2. 薬物検査の回避

「ゾンビたばこ」に含まれる成分は、従来の薬物検査では検出されにくい新しい種類の化合物であることが多いです。これにより、職場や学校の薬物検査を巧妙に回避できるという、悪質な側面も持っています。

3. 若者文化との結びつき

特に渋谷などでの闇取引の報告がある通り、「ゾンビたばこ」は若者文化の一部として、某种の「ヤバいもの」を手に入れたという刺激や、SNSでの拡散など、新たな形で広がりを見せています。

しかし、その実態は「常習性が強い」と支援団体が指摘する通り、依存症を引き起こす危険性が非常に高いものです。手軽に手に入れたつもりが、人生を狂わせるような事態に発展する可能性も孕んでいます。

今後の展望と対策：私たちにできること

この「ゾンビたばこ」問題、そして「エトミデート」を巡る状況を受けて、今後どのような対策が取られるべきでしょうか。

捜査当局の摘発強化

まず第一に、警視庁をはじめとする捜査当局による、密輸ルートの摘発強化が挙げられます。今回の逮捕劇のように、海外からの密輸入を阻止するための監視を強化し、暴力団の資金源を断つための取り締まりを加速させる必要があります。

医療・支援体制の整備

「常習性が強い」とされるこの薬物依存症に対しては、医療機関