棚橋弘至

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棚橋弘至、新日本プロレス「ワールドタッグリーグ」を最後のリーグ戦で締めくくる。涙とエアギターに込めた「次世代への想い」

新日本プロレスの象徴的存在である棚橋弘至が、2025年12月、自ら「現役最後のリーグ戦」と位置づけた『ワールドタッグリーグ2025』(WTL)での活動を終了した。史上最強タッグチームの一角として知られるエル・ファンタズモ(以下、ELP)とのコンビで臨んだこの大会は、単なるトーナメント以上の意味を棚橋に与えた。

優勝こそ逃したものの、その戦いぶりは「プロレスラーとしての誇り」と「後進へのバトンタッチ」を強く印象づけるものだった。本記事では、WTLでの棚橋弘至の激闘と、その言葉に込められた真実のメッセージを紐解く。

史上最強タッグ、有終の美を飾る戦い

2025年の『ワールドタッグリーグ』は、棚橋弘至にとって特別な大会だった。昨年、死亡事故を起こし出場停止処分を受けたELPが復帰を果たし、その相棒として棚橋が選ばれたことは大きな注目を集めた。

両者には過去の因縁があり、棚橋本人が「敵」として戦い、そして今は「相棒」として共に立つ関係性は、ファンにとっても極上のドラマを生んだ。WTL開幕前、棚橋は自身のX(旧Twitter)で「ELPの過去の過ちを許し、共に歩む」というメッセージを発信。その姿勢は、単なるゲームではなく、人間としての成長を見せる場となった。

12月8日、両国国技館での決勝戦。彼らは、かつてのH.O.Tの盟友であった石丸幹二&カール・フレドリックス組(現:The Don)と対戦した。試合は激しい攻防の末、ELPが禁断の「タイツ掴み」(相手のタイツを掴む反則技)を仕掛けられ、 בכך 패배하고 말았다。優勝はならなかったが、試合後の棚橋の表情には、悔しさよりも「これでよかった」という安堵と決意が混ざっていた。

【新日本】棚橋弘至&エル・ファンタズモ、『WTL』有終の美を飾る劇的勝利! H.O.Tの無法を切り裂き、笑顔と涙のエアギター締め「アンタの思い出を守るよ」 出典: プロレスTODAY

涙のエアギター、アンタの思い出を守るよ

この大会のハイライトは、何と言っても決勝戦後のエピソードだ。試合に敗れた直後、棚橋はその場に跪き、ELPとエアギターのポーズを決めた。このポーズは、かつての相棒・中邑真輔(現:AJ Styles)との「永田裕志の思い出を守るよ」という約束を彷彿とさせるものだった。

かつてのライバル、ELPとの間に確かな絆が生まれた瞬間であった。棚橋は試合後、「(ELPの)そのポーズが決まる瞬間、俺は安堵した。彼はもう大丈夫だと分かった」と語り、涙を浮かべていた。

「アンタの思い出を守るよ」 出典: プロレスTODAY

この一言には、過ちを犯した若手を許し、プロレス界の一員として受け入れる、 Veteranとしての広い心が表れている。同時に、そのエアギターを「継承」したという事実が、ELPへの深い信頼を物語っている。

新日本プロレス 棚橋弘至 エアギター

屈辱の敗戦と、少女から受けた「花束」

しかし、その輝かしい瞬間の裏には、WTL開幕戦での屈辱的な敗戦があった。

12月5日、仙台・カメイアリーナでの開幕戦。棚橋&ELP組は、新日本軍の若手スター、上村優也&コンコン組と対戦した。序盤から上村のスピードとパワーに翻弄され、最後は上村のハイフライボムで敗北。勝利を確信していたファンも含め、衝撃が走った。

「カラムの禁断の“タイツ掴み”に散り、棚橋&ELPの『WTL』制覇の夢潰える!棚橋、屈辱の敗戦後に少女から花束『最後まであきらめないのが僕』」 出典: dメニューニュース / プロレスTODAY

この屈辱的な敗戦の後、リングサイドで待っていたのは、一人の少女と花束だった。彼女は、試合に敗れた棚橋に花束を手渡し、「最後まであきらめないで」と声をかけたという。

このエピソードは、SNSで瞬く間に拡散し、「棚橋さんを励ます少女」として多くのファンの心を打った。棚橋自身もその熱意に応えるように、以降のリーグ戦では勝ち星を重ね、3勝目を飾るまでの巻き返しを見せる。その姿勢こそが、彼の「最後まであきらめない」という信条そのものだった。

「現役最後のリーグ戦」という決意

なぜ、棚橋はこのWTLを「最後のリーグ戦」と位置づけたのか。その背景には、明確な意志がある。

「【新日本・WTL】棚橋弘至 現役最後のリーグ戦で有終3勝! 相棒ファンタズモには〝エアギター継承〟」 出典: 東スポWeb

東スポWebの記事によると、棚橋はこのWTLを以てリーグ戦から撤退。今後は、単発の試合や、より大きなビッグマッチに集中する意向だ。これは、単なるスケジュールの調整ではなく、自らの役割を「若手の育成と、トップ戦での勝利」にシフトさせるという明確な戦略である。

WTLは、新日本プロレスの若手が台頭する場でもある。棚橋が自らの手でELPを復帰させ、共に戦うことで、彼を更生させただけでなく、観客にも「許しと再生」の物語を見せることが出来た。これは、Veteranならではの配慮と力量である。

まとめ:次世代へ向けた、笑顔と涙のバトン

ワールドタッグリーグ2025で、棚橋弘至は勝利と敗北、笑顔と涙を経験した。優勝はならなかったが、彼は何かより大切なものを掴んだ。

それは、かつての敵、ELPとの確かな絆であり、試合に負けた後でも彼を励ます少女からの「期待」であり、そして「最後まであきらめない」という自身の信条の再確認である。

「現役最後のリーグ戦」としてのWTLを終えた棚橋弘至。彼のその先には、新日本プロレスの屋台骨を守り抜くための、新たな戦いが待っている。そのエアギターは、決して止まらない。