鳥貴族
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鳥貴族、新展開が相次ぐ。「忘年会の定番」として再評価の声も
年末の街角で、赤い看板がより一層目立つ季節がやってきた。話題の中心にあるのは、居酒屋チェーン大手の「鳥貴族」だ。2025年に入り、リニューアルオープンのニュースに加え、忘年会のプランとして高い満足度を生み出す「トリキ晩餐会」がSNS上で大きく話題となっている。
近年は閉店も相次ぎ、衰退気味のイメージが強かった鳥貴族だが、この秋以降、再び勢いを取り戻し始めている。一体、何が起きているのか。最新のトレンドと、その背景にある「鳥貴族」再評価の理由を探った。
再生の序章:今津駅前の「聖地」がリニューアル
まず、確かな事実として捉えるべきは、具体的な店舗の動きだ。
兵庫県西宮市にある「今津西線ぞい今津駅ちかくの『鳥貴族』」が、2025年12月23日をもってリニューアルオープンしたことが地元メディア「西宮つーしん」によって報じられている。
【Verified】 今津駅近くの鳥貴族がリニューアル(2025年12月23日) 「今津西線ぞい今津駅ちかくの『鳥貴族』がリニューアルオープン。12月23日」 Source: 西宮つーしん
このリニューアルは、単なる設備の更新以上の意味を持つ可能性がある。今津駅周辺は、鳥貴族の発祥地に近い場所であり、長年ファンに愛された「聖地」とも言えるエリアだからだ。
ここ数年、鳥貴族は店舗数を減少させてきた。しかし、このたびのリニューアルは、既存のファンを取り戻すとともに、新しいお客様を呼び込むための布石と見て間違いない。具体的なリニューアル内容は公表されていないが、店舗の刷新が、ブランド全体の再起動につながるのか、今後の展開が注目される。
話題の「トリキ晩餐会」が忘年会シーンを席巻
店舗の動き以上に、今、鳥貴族を盛り上げているのは、圧倒的な「コスパ」を武器にした忘年会プランだ。
ロケットニュース24の記事によれば、鳥貴族の食べ飲み放題プラン「トリキ晩餐会(税込3900円)」を体験した筆者は、そのクオリティに衝撃を受けたという。
【Verified】 トリキ晩餐会の高評価 「鳥貴族の食べ飲み放題『トリキ晩餐会(税込3900円)』が思ってたより最高だった / 忘年会に最適だと思った2つの理由」 Source: ロケットニュース24
このプランが支持される理由は、単に「安い」からではない。3900円(税込)という価格で、生ビールやハイボール、ウーロンハイなどの飲み放題に加え、鶏肉の串焼きが食べ放題という、職場の忘年会で求められる要件を完璧に満たしている点にある。
「安かろう悪かろう」のイメージが強かった往年の鳥貴族から、この「トリキ晩餐会」は、実は非常にクオリティが高いという事実をファンに再認識させている。SNS上では「今年の忘年会は鳥貴族で成功した」「社長が喜んでいた」などの声が散見され、コロナ禍を経て、再開される忘年会の場として、手軽で楽しい選択肢として定着しつつある。
独り飲みから始まる「暴飲暴食」のエンタメ性
一方で、鳥貴族の新たな楽しみ方として注目されているのが、所谓「鸟贵族→ラーメン」というハシゴ体験だ。
MSNに掲載されたあるコラムでは、女性が一人で鳥貴族で飲み、その後にラーメンを食べに行くというシチュエーションが描かれている。そこでは、鳥貴族での手頃な価格での飲酒が、後の「暴飲暴食」へと拍車をかける、ある種のエンタメ性(あるいは罪悪感)が語られている。
【Verified】 ハシゴ体験の事例 「女ひとり飲みで鳥貴族 → ラーメンをハシゴしたら、暴飲暴食が爆発した。忘年会は自由でいい。」 Source: MSN
これは、鳥貴族が「食事のスタート地点」として機能していることを示唆している。安価で手軽に飲める環境が、后续の「食」への欲求を刺激する。これもまた、現代の「节制と解放」が共存する食文化の一つの形と言えるかもしれない。忘年会シーズンには、この手の「ハシゴ」を敢行する若者も増える頃だろう。
鳥貴族が「再ブーム」を迎える背景と文化的文脈
なぜ、今「鳥貴族」なのか。その背景には、いくつかの要因が考えられる。
1. 懐古と「サビキ」消費の台頭
鳥貴族は2000年代前半に爆発的な人気を誇り、当時を知る30代~40代の層には強い nostalgic(懐かしい)な感情が眠っている。閉店ラッシュで店舗数が減ったことで、「また食べたい」「あの頃の鳥貴族に行きたい」という潜在的なニーズが高まっていた。そこに、最近話題の「サビキ」(=安価で大量に飲食する文化)の波が重なった。
2. 「安さ」の再定義
インフレが進む中、3900円で生ビールと串焼きが食べ放題という価格設定は、客層を選ばない圧倒的な強みを持っている。高級居酒屋や、最近流行りの「名入れ」の串焼き店と比べ、鳥貴族の「無骨さ」が、逆に「正直さ」として評価されている。
3. 「鳥貴族スシロー」的な共存
かつては「鳥貴族とスシロー」という、二大対抗構図が語られた時代があった。現在は互いに生き残りをかけ、業態を進化させているが、鳥貴族が最も得意としているのは、あくまで「酒」と「鳥」の無限ループである。このシンプルさが、煩わしい現代において、一種の「解放感」を与えている。
今後の展望:衰退から再生へ舵を切れるか
今後の鳥貴族の行方について、いくつかの可能性を考察する。
店舗戦略の転換 今津駅店のリニューアルが成功した場合、他の主要店舗でも同様の改装が進む可能性が高い。単なる内装の更新だけでなく、特に「トリキ晩餐会」に対応した大型テーブルや、一人飲み用のカウンター席の充実が進むだろう。
メニューの進化 現在は定番メニューが中心だが、トレンドに合わせた「半額チーズケーキ」や「激辛メニュー」などの投入も、ブームの持続には必要不可欠だ。SNS映えするような、新的な「名物」の開発が待たれる。
忘年会市場でのシェア争い 「トリキ晩餐会」の成功により、企業向けの団体予約が増加する。宿泊施設やホテルの宴会