e-tax

e-Taxの「還付金詐欺」とは？手口の巧妙化と被害実態、今後の対策を徹底解説

近年、電子申告システム「e-Tax」を悪用した還付金詐欺が社会問題となっています。国税庁が推進するデジタル化の波に乗る形で、詐欺の手口も年々巧妙化しています。特に2024年には、自衛隊の職員を含む複数の逮捕者が出るなど、その被害は多岐にわたり、社会的な衝撃を与えています。

本記事では、TBS NEWS DIGやFNNプライムオンラインなどの信頼できる報道を基に、最新の被害実態や手口の具体的な内容、そして個人がどう備えるべきかを詳しく解説します。

今、何が起きているのか？自衛隊職員ら逮捕で波紋

2024年10月、e-Taxを使った還付金詐欺容疑で、自衛隊の非常勤職員を含む47歳の男らが逮捕される事件がありました。この事件は単なる個人の犯行ではなく、広域詐欺グループによる組織的な犯行である可能性が高いと見られています。

詐欺の構造：還付金をだまし取る手口

TBS NEWS DIGの報道によれば、逮捕者らはe-Taxの申告データを改ざんし、架空の還付金を申請していた疑いが持たれています。この詐欺の恐ろしい点は、被害額の大きさです。報道では、逮捕者は18人に上り、被害額は約2240万円にのぼるとしています。

【e-Taxで虚偽申告か、自衛隊の非常勤職員（47）ら逮捕…広域詐欺事件の逮捕者は18人、被害額は約2240万円に】（TBS NEWS DIG）

通常、還付金とは納めすぎた税金が戻ってくる仕組みですが、この手口はその仕組み自体を悪用。申告内容を虚偽で作成し、国税から不正に資金を巻き上げていました。

なぜ今なのか？e-Tax普及に伴う「新しい犯罪」の誕生

コロナ禍を経て、個人事業主や一般の納税者にとってe-Taxは身近な存在になりました。しかし、その利便性の裏側で、詐欺師たちが狙っているのが「不慣れなユーザー」や「還付金の仕組みへの無知」です。

無実の加担者も…？巧妙化する「口座仕込み」

Yahoo!ニュースで配信された高知さんさんテレビの独自取材記事は、詐欺の恐ろしい実態を伝えています。そこでは、逮捕される前の男が語った「加担の実態」として、以下のような驚きの事実が明かされています。

【独自】“口座が知らぬ間にトクリュウに” 逮捕前に男が語ったe-Tax詐欺加担の実態 （高知さんさんテレビ）

この記事では、詐欺グループが「口座を貸してくれ」と誘導し、その見返りに報酬を約束していた可能性が示唆されています。被害者というよりは、加担者としての側面をも描いています。これは、SNSやメッセージアプリを使った「うまい話」にのってしまった人が、結果的に犯罪の手助けをしてしまう、現代ならではの手口です。

76歳の生活保護受給者も…

FNNプライムオンラインの報道では、生活保護受給中の76歳の男性が還付金詐欺で逮捕されています。彼の供述は衝撃的です。

『e-Tax』がなにかも分からず…生活保護受給の男（76）”還付金詐欺”で逮捕【高知】（FNNプライムオンライン）

「e-Taxが何かも分からず」という言葉が示す通り、高齢者やデジタルに不慣れな層が、手口の詳細を理解せずに、あるいは騙されて、犯罪に手を染めてしまう実態が浮き彫りになっています。これは単なる犯罪事件ではなく、デジタル社会における「情報格差」の問題でもあります。

詐欺の手口を具体的に知る～どうやって犯人は動く？～

ここでは、報道内容や補足情報をもとに、犯人がどのようなステップで還付金詐欺を実行しているのかを整理します。

1. 情報の入手（または誘導）: 犯人は、何らかの方法でターゲットの個人情報（マイナンバーや証明書、銀行口座情報）を入手します。前述の「口座を貸して」という誘導もその一環です。
2. e-Taxの不正利用: 入手した情報を元に、本人に成りすましてe-Taxにログインします。
3. 虚偽の申告: 実際には存在しない医療費や経費を計上し、還付金が発生するように申告データを改ざんします。
4. 還付金の着金: 国税庁のシステムが不備なく処理したと判断すれば、指定された口座に還付金が振り込まれます。
5. 資金移動: すぐにその金額を別の口座に移動させ、痕跡を消します。

この手口の恐ろしい点は、被害者が「自分の口座に還付金が入った」と喜んでいる間に、その金額が「他人からの不正な資金」であることに気づきにくい点です。

個人ができる対策と今後の課題

このように巧妙化するe-Tax詐欺。私たちはどう身を守ればよいのでしょうか。

まずは「見えない敵」との距離を置く

一番の対策は、「うまい話には必ずリスクがある」という認識を持つことです。 * 不審なメールやSMSは即削除: 「還付金のお知らせ」「確定申告の確認」など、怪しいタイトルのメールは開かない。国税庁は公式サイトで還付金の通知をしますので、e-Taxのマイページを直接確認する癖をつけましょう。 * 他人に情報を渡さない: マイナンバーやe-Tax用の電子証明書、ID・パスワードは絶対に他人（親族でも含む）に教えないこと。特に、「口座を貸して」と持ちかけられたら、それは100%犯罪の可能性が高いです。

社会全体での対策強化へ

政府や国税庁も対策を強化しています。2024年現在、e-Taxの LOGIN 時に「マイナンバーカードの読み取り」と「顔認証」を組み合わせる「二要素認証」が強化されつつあります。これにより、IDとパスワードが漏洩したとしても、すぐに不正ログインされるリスクを低減できます。

しかし、高齢者など、カードやスマートフォンの操作が難しい層への配慮も必要です。FNNの記事で指摘された「e-Taxが分からず」という現状を打破するためには、税務署や自治体による、より親切で具体的なサポート体制が不可欠です。

まとめ：デジタル化の光と影

e-Taxは、確定申告を便利にする素晴らしい制度です。しかし、TBSやYahoo!ニュース、FNNが報道した通り、それを利用した犯罪が実際に発生し、多くの人が逮捕されています。

「自分は大丈夫」と油断している瞬間に、詐欺の罠は忍び寄ります。制度の便利さを享受しつつも、不審な連絡には絶対に応じず、常に公式のルートで情報を確認する。この基本を守るだけで、被害に