斉藤暁
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斉藤暁、悲しみの訃報と衝撃の「葬式拒否」──72歳俳優が語る、数奇な運命と家族の断絶
俳優の斉藤暁(さいとう あきら)氏(72歳)が、離婚して20年近く経っていた元妻の訃報を突然知らされた出来事。そして、その葬儀に参列しようとした矢先、実の長男から受けた「来ないでくれ」という言葉。その過酷な現実が、多くのファンや視聴者に衝撃を与えています。
著名人における「家族の断絶」という、他人には話しにくい深刻な問題を、斉藤氏自らがテレビ番組で率直に語ったことは、社会的な反響を呼んでいます。本記事では、報道されている事実を基に、この悲しい出来事の経緯と、その背景にある深い人間関係について紐解いていきます。
突然届いた訃報と、長男からの冷たい返信
事件の発端は、2025年10月28日放送のテレビ朝日系『徹子の部屋』での斉藤暁氏の告白でした。
20年の時を経て知った元妻の死
斉藤氏は、約20年前に離婚した元妻が亡くなったことを、四十九日を過ぎてから知りました。その連絡を取ったのが、夫の死後、身寄りがいなくなった元妻の親族だったようです。斉藤氏は「(元妻が)亡くなる前、『お前、何年も連絡とってないやんけ』と、元妻の妹から電話があった」と語り、その時初めて夫に先立たれたことを知らされたと話しています。
この報告に対し、斉藤氏は「(元妻の)お葬式、行かせてくださいよ」と申し出ました。しかし、そこには複雑な事情が横たわっていました。元妻には、斉藤氏との間の長男がいたのです。
「来ないでくれ」という長男の言葉
斉藤氏は、葬儀参列の可否を長男に確認しようと連絡を取りました。その結果、返ってきた返答は、父である斉藤氏を突き放すようなものだったと言います。
「長男から『来ないでくれ』と(笑)。『行かんといて』と。そう言わないと、その(元妻の)旦那の親戚ばっかりで、お前が来たら、その場がめちゃくちゃになるやろ、と。そう言いました」 (『徹子の部屋』より)
長男は、母の葬儀という悲しい場で、父である斉藤氏の参列が、親戚間の感情的な揉め事や場の混乱を招くことを懸念したようです。斉藤氏は、長男のこの判断を冷静に受け止め、「ああ、そうか、行かんといて」と了承したと語りました。
斉藤暁という人物と、数奇な人生の軌跡
このニュースを受けて、その人物像やこれまでの人生に改めて注目が集まっています。彼の人生は、決して平坦なものではなかったのです。
「名脇役」としての歩み
斉藤暁氏は、1952年(昭和27年)生まれ。俳優の藤竜也氏の影響を受けて劇団に入り、1974年にデビューしました。以来、数多くの映画やテレビドラマに出演し、存在感ある名脇役として確固たる地位を築いてきました。
特に有名なのが、大ヒットドラマ『逃亡者』(1992年)における木村拓哉さんとの共演や、近年では『半沢直樹』シリーズでの存在感です。その演技力はもちろんですが、独特の風貌と温厚な人柄で、幅広い層に親しまれてきました。
離婚とその後の人生
斉藤氏のプライベートな人生は、複雑な事情を抱えていました。2005年頃に離婚し、その後は独り身で生活を続けてきました。俳優としての活動と並行して、エッセイストとしても活動し、自身の体験や人生哲学を綴る著作も多数発表しています。
特に、自身の老いと向き合ったエッセイ『老境愚愚(ろうきょうぐぐ)』などでは、俳優としての悩みや、一人の老いとして感じる孤独感を綴っています。その中で、家族との関係が希薄になっていたことは、彼の著作からも窺い知ることができます。
証言が投げかける「家族の断絶」という現代社会の問題
斉藤氏の告白が多くの人の心に響いたのは、それは現代社会における「家族の断絶」という、普遍的で深刻なテーマをはらんでいるからです。
離婚後の親子関係の難しさ
離婚という経験は、夫婦関係を清算することを意味しますが、子供にとってそれは単なる両親の別れではありません。特に成人した子供がいる場合、その子供は両親の間に立たされ、複雑な感情や対応を迫られるケースが多々あります。
斉藤氏の長男は、母の死という悲しい出来事において、母方の親戚や、父との間にある微妙な空気をどう処理すべきか、苦渋の決断を下したのでしょう。父親の参列が、母の葬儀を滞らせることを懸念した長男の気持ちと、参列したいという父の気持ち。その狭間で、家族の歴史が作り出した壁が立ちはだかった瞬間でした。
著名人における「表の顔」と「裏の顔」
表舞台で活躍する俳優も、家庭内では夫であり、父親であり、そして一人の個人です。しかし、その苦悩や家族トラブルを、外に打ち明けることは容易ではありません。
斉藤氏が『徹子の部屋』という国民的な番組で、これほどまでに私的な悲しみを語った背景には、「誰かの役に立ちたい」という彼の俳優としての哲学があるかもしれません。自身の体験が、同じように家族と離ればなれになった人や、老いの寂しさを感じている人の心の支えになる。その想いが、彼をこの発言に至らせたのだと推測できます。
今後の展望:喪失と向き合う人生
斉藤氏は、元妻の死、そして長男からの「葬式拒否」という出来事を通じて、何を感じ、どう生きていこうとしているのでしょうか。
喪失と再生のプロセス
斉藤氏は、元妻の死を悼みながらも、「長男がそう言った以上、引き下がるしかない」と、現実を受け入れています。これは、彼の人生の先輩としての落ち着いた姿勢であり、長男を尊重する姿勢でもあります。
しかし、心の奥底には、取り返しのつかない喪失感や、家族との断絶による寂しさが残っているはずです。今後、彼はその喪失感を、演劇やエッセイといった形でどう昇華していくのか。その活動に、多くの人が注目しています。
俳優・斉藤暁の今後
72歳という年齢でもなお、創作意欲旺盛な斉藤氏。彼の人生経験は、演技の深みをさらに増すものと期待できます。今回の出来事で、より人間臭く、そして重みのある演技を披露してくれることでしょう。
また、家族や老い、孤独といったテーマを扱った作品への出演や、自らのペンを奮う機会も増えるかもしれません。