ntt 決算
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NTTの最新決算、増益を続けるが「アナリスト予想を下回る」理由とは?
NTTの2025年3月期上半期(4~9月)の決算が発表され、市場関係者の注目を集めている。純利益が前年同期比7%増の8893億円を記録した一方、税引き前利益がアナリスト予想を下回ったことで、株価や今後の業績見通しに影を落れている。この決算発表の背景にある要因、NTTの戦略、そして今後の展望について、信頼できる情報源を基に深掘りしていく。
増益を続けるNTTだが、市場の期待に届かなかった“数字のギャップ”
NTTの2025年3月期上半期(4~9月)の決算は、純利益が前年同期比7%増の8893億円という好業績で終えた。これは、データセンターの売却益が大きく寄与しており、一時的な利益として計上されたことが主因だ。日本経済新聞の報道によれば、「データセンター売却益による特別利益が純利益の伸びを支えた」という(日本経済新聞)。
しかし、一方で中間税引き前利益は889,305百万円(約8,893億円)で、これは市場のアナリスト予想を下回ったと報じられている(Yahoo!ファイナンス)。税引き前利益は、企業の本業での収益力を測る重要な指標の一つ。純利益は一時的な売却益を含むため、「本業の実力」を見極めるには税引き前利益がより重要とされる。
「純利益の増加は一時的な売却益によるものであり、本業の収益性が向上しているとは言いにくい」
—— ある証券アナリストのコメント(Yahoo!ファイナンス引用)
この「数字のギャップ」が、NTTの株価に影響を与えた。決算発表後、NTT株は一時的に上昇したものの、税引き前利益の下回りを受けて売りが優勢に。市場の期待感と実績のズレが、投資家の間で警戒感を呼んでいる。
最新の動きを追う:NTTの決算発表から今後の見通しまで
■ 2024年10月~11月:上半期決算発表と市場の反応
- 2024年10月31日:NTTは2025年3月期上半期の決算を発表。
- 売上高:前年同期比2.1%増
- 税引き前利益:8,893億円(アナリスト予想平均:9,100億円超)
- 純利益:8,893億円(+7%)
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データセンター売却益:約1,000億円規模(推定)
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2024年11月1日:かぶたんが報じた「7-9月期の連結営業利益が前年比20%増」というニュースが注目を集める(かぶたん)。これは、NTTドコモやNTTコミュニケーションズの通信事業の改善が寄与していることを示唆。特に、NTTドコモの5G普及率の向上や料金体系の見直しが効いているとみられる。
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2024年11月2日~3日:市場でNTT株が売り優勢に。税引き前利益の下回りが「本業の弱さ」を浮き彫りにしたとの指摘が相次ぐ。
■ 今後の見通し:2025年3月期通期予想
NTTは、通期予想を以下の通り修正している(※2024年11月時点の発表):
| 指標 | 前回予想 | 修正後予想 | 変更率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 12.8兆円 | 12.85兆円 | +0.4% |
| 営業利益 | 1.6兆円 | 1.62兆円 | +1.2% |
| 税引き前利益 | 1.75兆円 | 1.73兆円 | -1.1% |
| 純利益 | 1.1兆円 | 1.12兆円 | +1.8% |
純利益は上向いているが、税引き前利益が下げられた。これは、本業の収益性に対する市場の不信感を反映していると解釈される。
NTTの「変革」の歴史と今回の決算の背景
NTTは、1985年の民営化以来、日本の通信インフラを支える「国の柱」としての地位を築いてきた。しかし、2000年代後半以降、固定電話の衰退、携帯電話市場の飽和、低価格競争などに直面し、業績は停滞気味。
■ 「NTT再編」の流れ
2020年、NTTは「NTT再編」を発表。これは、以下の3つの柱で構成されていた:
- NTTドコモの完全子会社化(2020年)
- NTTコミュニケーションズの再編(2022年)
- グローバルITサービス(NTTデータ)の強化
特に、NTTドコモの完全子会社化は大きな注目を集めた。これにより、NTTは携帯電話事業の収益を直接連結に反映できるようになり、本業の収益基盤を強化する狙いだった。
■ データセンター戦略の転換
今回の純利益の増加に寄与した「データセンターの売却益」は、NTTの資産最適化戦略の一環。NTTは、国内に多数のデータセンターを保有していたが、過剰供給が進み、利用率が低下していた。
そこで、NTTは「不要な施設を売却し、資金をAI・クラウド・セキュリティなど成長分野に集中投資」する方針を打ち出した。今回の売却益は、その最初の成果と言える。
「NTTは、従来の通信インフラから、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援企業への転換を加速させている」
—— 通信業界のエキスパート(