テコンドー
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テコンドーは忍者じゃない!カナダTV局の誤解から考える、国技の真実とその魅力
「テコンドー=忍者?」
北米のスポーツ専門チャンネルが投稿した一言が、大きな波紋を呼んでいます。カナダを代表するスポーツ局TSNが、韓国の国技である「テコンドー」の動画に「忍者のトレーニング(NINJA TRAINING?)」というキャプションを付けたのです。この誤解は、単なる言い間違いではなく、テコンドーという武道の本質を世界がどれほど誤解しているかを浮き彫りにしました。
一体、なぜこのような誤解が生まれたのでしょうか?そして、その真実の姿とは。この記事では、TSNの誤投稿騒動から始まり、テコンドーの歴史、技術的な魅力、そして現代におけるその地位まで、詳しく解説します。
カナダTV局の誤投稿が引き起こした「誤解の悲劇」
事件の概要:SNSに投稿された「NINJA TRAINING?」
2024年11月ごろ、カナダの主要スポーツ専門チャンネル「TSN」は、テコンドーのキック技が繰り広げられる動画を自身のSNS(主にX/Twitter)に投稿しました。問題だったのは、その投稿文です。
「NINJA TRAINING?(忍者のトレーニング?)」
この一言が、瞬時に韓国国内外のテコンドー関係者やファンの怒りを買いました。なぜなら、テコンドーは韓国が誇る「国技」であり、その歴史と文化は日本の忍術とは全く異なるものだからです。
韓国からの猛烈な批判と反響
この投稿はすぐに韓国のニュースメディアでも取り上げられ、大きな話題となりました。
- Yahoo!ニュースの記事でも指摘されている通り、「誤認が予想外に多い」という現状が浮き彫りになりました。
- 中央日報や毎日経済(MK.co.kr)などのメディアは、「テコンドー宗主国である韓国として、誤った認識を正さなければならない」という声を伝えています。
多くの韓国人ユーザーからは、「歴史を無視した軽率な表現だ」「文化の盗用( appropriation)に近い」といった批判が噴出。単なるネタとしての笑い話では終わらず、文化への敬意を問う大きな議論となりました。
テコンドーの正体:忍者ではなく「拳と足の芸術」
TSNの誤解を招いた背景には、速く、激しい足技の連続。その俊敏さから「忍者」を連想した可能性がありますが、テコンドーの本質は全く異なります。
歴史から見る「韓国の国技」としての確立
テコンドーは、その名の通り「跆(蹴る)」「拳(打つ)」「道(道)」を意味し、主に足技を多用する格闘技です。
- 起源: 古くは朝鮮半島に古来から伝わる武術「テクキョン」が源流とされています。
- 近代化: 第二次世界大戦後、韓国各地で fragmented していた武術を統合し、1950年代から1960年代にかけて体系化されました。「テコンドー」という名称が正式に制定されたのは1955年のことです。
- オリンピック: 1988年ソウル五輪で公開競技、2000年シドニー五輪で正式競技となり、世界的なスポーツとして確立しています。
テコンドーの3つの柱:その技術的特徴
テコンドーは、単なる喧嘩術ではなく、高度な技術と哲学をもった武道です。特に特徴的なのは以下の3点です。
- キョルギ(競技): オリンピックで行われるスポーツテコンドー。護具を着用し、有効打点を競います。特に「回転蹴り(フリップキック)」などの鮮やかな足技が人気です。
- プムセ(型): 仮想の敵との戦闘を想定した、一連の動作の組み合わせ。攻撃と防御の連続で、武道の精神を養います。
- キベヨン(組技): 相手の攻撃を受け流し、投げ技や関節技を用いて制する技術。柔道や合気道に近い要素も持ちます。
このように、テコンドーは「蹴る」「打つ」「投げる」という多様な技術を包含しています。これを「忍者のような忍びの技」と同一視するのは、技術的な誤りと言えるでしょう。
なぜ誤解は生まれるのか? 文化の境界線を超えるリスク
カナダTSNの事例は、グローバル化する現代における、文化理解の重要性を示す典型的なケースです。
「東洋文化」の一括りにしない視点
北米では、日本の忍者や中国のカンフーなど、アジアの武道を混同しやすい傾向があります。これは、マーケティング上のキャッチーさや、異文化への単純な好奇心から来ていることが多いですが、その結果として深刻な文化摩擦を生むことがあります。
「宗主国」としての意識と国際的な啓発の必要性
韓国では、テコンドーが単なるスポーツではなく、国家の威信をかけた「国技」であるという意識が非常に強いです。そのため、外国からの誤った表現に対して敏感に反応します。
この騒動を受けて、専門家からは以下のような指摘が出ています。
「テコンドーは韓国の文化遺産であり、これを正しく世界に伝える責任がある。スポーツチャンネルのような影響力を持つメディアは、事実関係を確認した上で発信する必要がある。」(ある韓国スポーツ評論家)
今後、国際的な大会やメディアコンテンツにおいて、文化の正確さを確保するためのルール整備や、相互理解を深めるための取り組みがさらに重要になるでしょう。
日本から見るテコンドー:普及と進化
日本においても、テコンドーはもはや無視できない存在感を示しています。誤解の対象となるだけでなく、自ら学ぶ道場も増えています。
日本での普及状況と最新動向
- 全日本テコンドー協会: 公式な競技団体として活動しており、国内には多くの道場が存在します。
- パラリンピック: 2020年東京パラリンピックでは、パラテコンドーが正式種目として採用されました。視覚障害者向けの「コンタクトテコンドー」は、その迫力とスポーツ精神に多くの観客を魅了しました。
- アマチュアの活躍: 昨今、日本人選手による国際大会での活躍も目立っています。例えば、聴覚障害者の国際スポーツ祭典「デフリンピック」では、日本人として初のテコンドー選手が出場し、その健闘が話題を集めました。
日本の武道との共通点と相違点
日本の柔道や空手と比較すると、テコンドーは「足技」の比重が非常に高い点が特徴です。しかし、礼儀や精神鍛錬を重視する「道(Do)」の精神は、日本の武道と相通じる部分が大いにあります。カナダの誤解とは裏腹に、実は非常に近い価値観を持つ武道であると言えるかもしれません。
まとめ:テコンド
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