相撲結果

朝乃山の快進撃！12勝目を挙げ「再入幕」目前…その熱い想いと課題

大相撲九州場所も佳境に入り、土俵上の熱気が一段と高まっている。その中で、かつて大関の地位にいた「朝乃山」が、十両の舞台で鮮やかな復活を遂げようとしている。11月23日、朝乃山は九州場所14日目、西十両4枚目藤凌（とうりょう）を押し出しで破り、自身初の二桁勝利となる12勝目を挙げた。

この勝利は単なる数字ではない。年6場所制導入以降、前所未聞の「大関脱落後の全勝」を記録し、一時は引退も囁かれた彼の、怒涛の comeback 物語のクライマックスに近い。来年1月の初場所での「再入幕（幕内復帰）」が事実上確定したことで、その関取としての意地と、かつての「大関」の誇りが、今、再び炎を吹き上げている。

再入幕が濃厚！12勝目を決めた九州場所の瞬間

「内容もよかった」 これは、12勝目を決めた後の朝乃山が、報道陣の前に立ち、淡々と語った言葉だ。しかし、その言葉の背後には、この場所を通して見せた、まさに「大関級」の相撲が存在した。

大関から十両へと転落した朝乃山。彼のこの場所の相撲は、単に勝つだけではなかった。序盤から白星を積み重ね、首位を独走する中で、かつてのライバルであり、現在首位との藤凌との直接対決にも勝利し、優勝争いにも絡んだ。この勝利は、単に勝率を上げるだけでなく、彼の「器」がまだ幕内に通用することを証明する、まさに決定打となった。

藤凌との熱戦、そして信頼関係

首位争いを演じた藤凌との取組は、朝乃山の強さを象徴する一戦だった。藤凌が残り2敗を守る中、朝乃山がその牙を折る。この勝利がなければ、12勝目はおろか優勝争いも怪しかったかもしれない。この勝利が、彼の自信に繋がったことは間違いない。

大関からの転落、そして再生への道のり

朝乃山の活躍は、その輝きとは裏腹に、過酷な現実を背負っている。彼は、2020年9月場所で大関昇進を果たしたが、新型コロナウイルスのPCR検査偽装問題により、僅か1場所で大関の地位を剥奪されるという、異例の事態に見舞われた。

以来、彼は十両と幕内を往復し、常に「再入幕」と「大関復帰」という二つの目標を胸に走り続けてきた。一度は大関の地位を追われ、その傷を癒やすためには、単に勝ち越すだけでなく、圧倒的な強さで土俵を支配する必要があった。今回の九州場所は、その長い道のりの集大成と言えるだろう。

为何「再入幕」が如此重要なのか？

大相撲の世界において、一度十両に落ちた力士が、再び幕内（特に上位）に戻るのは容易ではない。体力的な衰えに加え、精神的なタフさが求められる。

朝乃山にとって「再入幕」が意味するものは、単なる地位の回復ではない。それは、自らの過ちを認め、それを乗り越えた証であり、ファンや関係者に対する贖罪の意味合いも含まれている。彼が「来年は三役に戻りたい」と語る背景には、かつて大関としての地位を失った悔しさ、そして、再びその頂点を目指すという、ただ一つの強い意志がある。

来年1月の初場所、そして目指す「三役」

12勝目を決めたことで、朝乃山の来年1月の初場所での再入幕が決定的となった。しかし、彼の目指す先はそれだけではない。彼は取組後のインタビューで、はっきりと「次は三役（関脇・小結）に戻りたい」と意欲を示した。

幕内に返り咲くだけでなく、かつての地位である三役、そして再び大関への道を歩む。その大きな目標のためにも、この12勝は単なる通過点に過ぎない。

優勝は逃したが、失ったものではない

首位の藤凌が13勝1敗で優勝を決めたため、朝乃山のこの場所の優勝は成らなかった。しかし、12勝は十両での好成績であり、かつての彼の姿を取り戻しつつある証拠だ。成績だけではなく、その相撲内容が「大関級」と言われる所以でもある。

まとめ：土俵が紡いだ、再起の物語

大相撲九州場所で見せた朝乃山の活躍は、単なるスポーツニュースの枠を超えた、一つの感動的な物語を形成している。一度は頂点から奈落の底へと堕ちた男が、自らの足で再び峰を目指す姿は、見る者すべてを惹きつける。

彼の次場所、再来場所への思いは計り知れない。かつての失敗を胸に刻み、土俵で汗を流すその姿は、まさに「不屈のプロフェッショナル」そのものだ。

来年1月、朝乃山が再び幕内の土俵に立つその日を、そして、その先にある三役、そして大関への道を、私たちは楽しみに見守り続けたい。彼の物語は、まだ終わっていない。今から始まろうとしているのだ。