私立高校無償化

私立高校無償化、2026年度から大きく変わる仕組み｜自己負担額や新制度のポイントを徹底解説

「公立は無償だが、私立は授業料がかかる」という現状。その壁を少しでも取り払うため、近年、議論を集中しているのが「私立高校の実質無償化」をめぐる制度改革です。2026年度をメドに、現行の「高等学校等就学支援金制度」の見直しが具体的に動き出しています。

学資負担の軽減は、子育て世代にとって切実な問題です。しかし、報道内容を逐一チェックするのは難しいもの。今回は、Yahoo!ニュースや教育新聞などの確かな情報源を基に、2026年度以降に予定されている私立高校無償化の変更点、気になる自己負担額、そして背景にある教育格差是正の取り組みについて、わかりやすく解説します。

2026年度の変更点で注目すべき「私立高校の実質無償化」とは？

現行制度では、私立高校に通う生徒の保護者に対して、所得に応じた支援金が支給されています。しかし、この制度は2025年度末をもって見直され、2026年度からは「私立高校授業料の実質無償化」へと舵を切る準備が進められています。

現行制度との違い：誰が、いくら支援される？

現在、私立高校への支援は、保護者の「所得制限」が設けられています。年収が一定額以上（目安として590万円以上）の世帯では、支給が停止される、あるいは大幅に減額される仕組みです。

しかし、2026年度の新制度では、この「所得制限撤廃」が最大の焦点となっています。報道によれば、政府与党は年収910万円未満の世帯を対象としていましたが、より多くの世帯をカバーする形で、所得制限を撤廃する方向で調整が進んでいるとされています。

【Yahoo!ニュース 記事より】 「私立高校の授業料を実質的に無償化する現行の支援制度について、政府与党は、2026年度から所得制限を撤廃し、年収約910万円未満の世帯を対象としていたものを、より多くの世帯へ拡大する方針で調整に入った」（※要約）

出典: Yahoo!ニュース

自己負担額はどのくらい？

「実質無償化」とは言っても、完全に「0円」になるわけではありません。ここがよく誤解されがちなポイントです。

新制度の柱は、「授業料を全額カットする」という仕組みです。私立高校の平均的な授業料（年間約38万円〜48万円程度）を、国が学校側に直接支払うことで、保護者の負担をなくす方向です。

ただし、授業料以外の費用、例えば「施設費」や「教材費」、「学校行事費」などは、保護者の負担として残る可能性が高いです。現行制度でも同様ですが、新制度でも、授業料以外の費用は自己負担になる点には留意が必要です。

なぜ今、制度改革が必要なのか？教育格差と少子化対策の狭間で

単なる「値切り」ではなく、なぜ政府が巨額の予算を投じてまで、私立高校への支援を拡大しようとしているのでしょうか。その背景には、深刻な社会問題が二つあります。

1. 教育格差の是正：「学力の貧困」を防ぐ

日本には「公立高校」と「私立高校」という壁があります。入学試験の難易度や偏差値だけでなく、家庭の経済力によって進学先が分断される構造が存在します。

私立高校は、公立に比べて授業料が高額です。また、学费が免除されても、私立高校に通うためには「入試費用」や「制服代・新幹線通学費」など、初期費用や継続的な出費が伴います。この経済的負担が、私立高校への進学を躊躇させる一因となっています。

政府与党が掲げているのは、「教育機会の均等」という理念です。家庭の経済状況に関係なく、質の高い教育を受けられる環境を整えることで、将来の「学力の貧困」を防ごうという狙いがあります。

【教育新聞 記事より】 「高校改革への『30年に1度の機会』と位置づけ、1000億円超の交付金を訴える」 「教育格差是正のため、私立高校の授業料無償化を含めた抜本的な改革が必要」との声が専門家からも上がっている。

出典: 教育新聞

2. 少子化対策：教育費の不安を軽減する

もう一つの柱は「少子化対策」です。子育て世帯が抱える最大の不安の一つが「教育費」です。「私立に通わせたいが、学費が不安」という理由で、出産・育児を控える傾向にあることは、多くの調査で指摘されています。

特に、中間所得層（年収590万〜910万円程度）は、現行制度では所得制限のギリギリˤよって支援が受けられず、「私立に行かせようか」という段階で経済的負担が大きくなります。この層への支援を手厚くすることで、若年層の出生率向上に寄与しようという算段です。

現場の声と今後の展望：学校側の課題と期待

制度改正の動きは、学校現場や地域社会にも大きな影響を与えます。

学校側の課題：「人件費」と「運営費」の確保

私立高校にとって、授業料は収入の柱です。もし政府が授業料を全額補填する場合、その金額が適正かどうかが問題になります。

教育新聞の指摘する通り、私立高校は教員の給与など人件費が大きな割合を占めています。国が支給する支援金が、実際の学校運営に必要な経費（授業料）を下回る場合、学校の教育環境の低下や、教員配置の削減につながる恐れがあります。

したがって、単に「無償化」を実現するだけでなく、「学校の質を落とさないための適正な交付金額」をどう設定するかが、今後の課題として浮上しています。

今後のスケジュール

現在、与党内部や国会での議論を経て、2026年度当初予算案にその方針が反映される流れです。 以下のタイムラインが予想されます。

1. 2025年中： 制度の詳細設計（所得制限撤廃の範囲、交付金額の算定式）の決定
2. 2025年末： 2026年度予算案への反映
3. 2026年4月： 新制度スタート（見込み）

まとめ：私立高校無償化がもたらす未来

私立高校の実質無償化は、単に「学費が安くなる」という経済効果だけでなく、日本の教育全体の在り方を変える大きな試金石です。

• 保護者にとっては： 「私立か公立か」という選択肢が広がり、教育