豊昇龍

豊昇龍、雪辱果たすも2敗の辛口台詞…「苦手の王鵬」を下したその時、何が見えたか

大相撲の十二月本場所、土俵の熱気が一段と高まっている。その中心に立つのは、新入幕を果たしたばかりの豊昇龍。彼の名前が今、多くのファンの注目を集めている。その理由は、ただ単に新入幕だからではない。わずか2場所目で新鋭を次々と下し、一気に幕内に食い込んだ彼の躍進と、その裏にある「成長」の姿が、日本の相撲ファンに新たなドラマを提示しているからだ。

11月19日の報知新聞やYahoo!ニュースの報道によれば、豊昇龍はこの日、序盤から破竹の快進撃を続け、ついに3連勝とした。しかし、彼の土俵には、単なる連勝以上の何かが秘められている。それは、かつての「大の里」としての自覚、そして、苦手意識を払拭しようとする意思の強さだ。本日は、その一角を飾る「王鵬戦」の勝利に焦点を当て、豊昇龍という力士の現在地と未来を読み解いていく。

新鋭の壁、そして打開策。王鵬戦で見せた「覚悟」

「苦手の王鵬を下す」――報知スポーツが伝えたその headline は、単なる勝敗の結果を超えて、ある種の決意を暗示していた。

この日、豊昇龍が勝ち進む中で、最大の関心事は、2024年現在で5回目の対戦となる大関・王鵬との対戦だった。これまで丰昇龍は、王鹏との対戦成績で0勝4敗と、完全に「手も足も出ない」状態が続いていた。その上、前々場所（9月場所）では、王鵬が豊昇龍の控えにいた際、豊昇龍が「（王鵬の）顔を見たら、少し腹が立った」と語っていた事実がある。これは、単なるライバル意識というより、過去の負け越しに対する悔しさ、そして焦りが募っていた証拠だ。

しかし、この日の豊昇龍は違った。彼は「昔の印象は捨てて挑んだ」と話す。感情に流されず、冷静かつ攻撃的な相撲を心がけたのだ。その結果、見事に王鵬を破り、悲願の初白星を飾った。

この勝利は、単なる連勝数を伸ばしただけでなく、彼の心の壁を打ち破る意味合いが非常に大きい。新入幕の壁、そして「大の里」という存在が、大学時代から「かなり上の存在」だったという事実を考慮すると、この勝利は、丰昇龍の精神的成長を如実に物語る一戦となった。

連勝の裏側にあった「義ノ富士」という存在

丰昇龍の躍進は、彼自身の実力と並行して、周囲の状況も見逃せない。特に注目すべきは、2番組の相撲を取った「義ノ富士」という存在だ。

11月18日、義ノ富士は、前日に豊昇龍から金星（大関を倒した番狂わせ）を奪う快挙を成し遂げた。この金星の背景には、大学時代からのライバル関係がある。報知新聞の記事では、義ノ富士が豊昇龍について「大学時代はかなり上の存在」と語っていた。この「上の存在」という言葉が、二人の関係性を象徴している。

豊昇龍が王鵬を破ったその日、義ノ富士は安青錦に敗れ、2敗後退となった。しかし、この二人の動向は、本場所の大きな見どころの一つだ。豊昇龍が連勝を重ねる一方で、ライバルである義ノ富士も勝ち進み、そして互いに影響し合う。这种「共存共栄」の関係性が、新鋭同士の切磋琢磨を生み出し、結果的に大相撲の画面をより豊かなものにしている。

豊昇龍自身、「昔の印象を捨てて」と語ったように、義ノ富士との対戦においても、常に新たな気持ちで挑む姿勢が求められる。それは、彼自身が「大の里」である以上、誰かと比較されるのではなく、自分自身の相撲を貫くための重要なステップとなる。

豊昇龍という力士の背景：モンゴル系日本人としてのルーツと期待

丰昇龍という力士を語る上で、彼の出自を無視することはできない。彼は、モンゴル出身で、日本で育った「ザンザンン」と呼ばれる世代の一人だ。大の里、琴ノ若、lements...と、モンゴル出身の力士たちが台頭する中、丰昇龍もまた、その血筋を受け継ぐ一人として注目されている。

彼の取組は、モンゴル相撲の強さと、日本相撲の美しさを融合させたような、独特の風格がある。特に、新入幕というプレッシャーの中で、王鵬という苦手な相手に勝利したことは、彼のポテンシャルの高さを証明した。

彼が目指すのは、ただの幕内止まりではない。将来的には、大関、さらには横綱へと登り詰めることだろう。その為には、王鵬との対戦で見せたように、苦手意識を克服し、常に上を目指す姿勢が不可欠だ。現状、彼の相撲はまだ未熟な部分も散見されるが、その底力は計り知れない。

今場所の行方と丰昇龍の「次の一手」

11月19日現在で3連勝の豊昇龍。今後の展望として、彼が目指すのは当然、二桁勝利、そして三賞（殊勲賞、敢闘賞、技能賞）の受賞だろう。新入幕力士が三賞を受賞するケースは珍しくない。彼の調子が良ければ、その可能性は十分にある。

しかし、油断は禁物だ。前場所（9月場所）で彼は、序盤の好調から一転、後半に失速し、8勝7敗と勝ち越しながらも物足りない結果に終わっている。この「後半の失速」が、彼の課題として挙げられる。体力、精神力、そして相手の研究。新入幕としてのプレッシャーの中で、いかにこの課題をクリアできるかが、今後の鍵となる。

また、義ノ富士とのリターンマッチも見どころの一つだ。前回は金星を許したが、次はという思いが彼の中にあるはず。その対戦が実現した時、豊昇龍の成長が改めて問われることになる。

まとめ：豊昇龍が拓く、大相撲の新しい地平

豊昇龍の勝利は、単なる数字の積み重ねではない。それは、かつての「大の里」の片割れが、自らの足で立ちはだかる壁を乗り越え、独自の道を歩み始めた証である。

彼は、大学時代は「上の存在」だった相手にも勝ち、苦手だった王鵬にも勝った。この「克服」の連続が、彼をさらなる高みへと導くことだろう。

大相撲ファンは今、豊昇龍という名の新しい星の輝きに注目している。彼の次のお相撲、そして今後の活躍が、ますます楽しみ