徳山競艇

徳山競艇・G1「徳山クラウン」争奪戦：名門・徳山の威信をかけた熱戦の行方

ボートレース界の最前線で、今まさに激しい闘いが繰り広げられている。その舞台は、山口県周南市に位置する「徳山競艇場（とくやまきょうていじょう）」。2025年11月、G1「徳山クラウン争奪戦」の開催に伴い、全国のトップレーサーが集結し、その威信をかけて水上の戦いを演じている。

ボートレース（BOAT RACE）を語る上で、徳山は外せない名門競艇場の一つだ。その歴史と伝統に裏付けられた、非常にデリケートで高度なレース展開が繰り広げられている今大会。特に、選手の体調管理や、微妙な枠の利きをどう活かすかが胜负の分水岭となっている。

本記事では、最新のスポーツニュースで報じられている徳山G1の現状と、そこで繰り広げられる選手たちの知略と闘いの核心に迫る。

激動の予選最終日：準優好枠と足色への不安

徳山競艇場で行われている「G1徳山クラウン争奪戦」。その予選最終日、各選手は決勝戦への切符を賄うため、最後の力を絞り出した。

その注目株の一人が、澤田尚也（さわだ なおや）選手だ。スポーツナビの報道によれば、澤田選手は「足色に不安も」残しつつも、準優好枠（準優勝戦への有利な抽選枠）を掴み出す międ를 거머쥐った。

【 Verified News Reports 】 G1徳山クラウン争奪戦は予選最終日 足色に不安も準優好枠に挑戦する澤田尚也
Source: スポーツナビ

ボートレースにおいて「足色（あしぐろ）」とは、エンジンの調子、特に排気音や振動から判断される回転の滑らかさを指す。わずかなエンジンの不調が、水上でのスピードに直結する。その不安を抱えながらも、準優好枠という有利なポジションを確保した澤田選手の戦略眼が注目されている。これは、単なる運や抽選に頼らず、確かな実力でポジションを勝ち取った証拠と言える。

松田祐季の鋭いイン攻防：一発勝負の行方

一方、その熱戦の中で、女性レーサーの存在感もまた絶大だ。特に、松田祐季（まつだ ゆうき）選手の戦い方は、 spectator（観客）の心を鷲掴みにする。

ドコモのスポーツニュースが伝えるところによると、松田選手は、強力なイン（1コース）を維持する毒島誠（ぶすじま まこと）選手のラインを、見事な「ツケマス一発」で破ったと報じている。

【 Verified News Reports 】 【徳山ボート G1徳山クラウン争奪戦】松田祐季 毒島誠のイン戦をツケマイ一発で撃破（スポニチアネックス）
Source: ｄメニューニュース

ここでの「ツケマス一発」とは、ピット（浮き）に設置されたマス（目印）を、開始と同時に正確に蹴って加速し、他を引き離すという至高のテクニックのこと。松田選手のこの技術は、徳山の荒れた水面、あるいは強風の中でも、安定した加速力を生み出す。毒島選手が守るインコースを、これほどの精度で破る腕は、まさにG1級のレーサーならではのものだ。

体格の差を覆す「減量」の美学

ボートレースの世界において、体重は非常にデリケートな要素だ。ボートとエンジン、そしてレーサー自身の体重を合わせる「総合重量」には上限がある。つまり、少しでも軽ければ、その分だけエンジンやボートのバランスを微調整する余地が生まれ、速く走る可能性が高まる。

しかし、体を絞りすぎれば、持久力や筋力が落ち、逆にレースに影響を与える。そのバランスの妙を追求しているのが、海野康志郎（うみの やすしろう）選手だ。

日本スポーツ新聞の記事は、海野選手の「減量効果てきめん」という成果と、「全然違う」と自信に満ちた仕上げを伝えている。

【 Verified News Reports 】 【ボートレース】減量効果てきめんの海野康志郎オール３連対「全然違う」仕上げに自信／徳山Ｇ１
Source: nikkansports.com

海野選手の「全然違う」という言葉は、単なる気分の変化ではなく、体重管理によってボートの動きが劇的に改善したことを示唆している。彼のオール3連対（予選全勝）の快挙は、この「減量」という地味で泥臭い努力の結果である可能性が高い。G1という大きな舞台で、体格や体重を武器に変える選手の執念が伺えるエピソードだ。

徳山競艇場の歴史と、G1の重み

なぜ、徳山競艇場でのG1開催がこれほどまでに注目を集めるのか。その背景には、同競艇場の確かな歴史と、レースの特性がある。

徳山競艇場は、1956年（昭和31年）に開設された老舗の競艇場だ。山口県という地理的要因から、中国地方だけでなく全国から多くのファンが訪れる「聖地」の一つである。特に、G1「徳山クラウン」は、年末のボートレース界を彩る最重要レースの一つとして位置づけられており、これを制することは、レーサーにとって最大的な名誉となる。

徳山の水上は「荒れる」

徳山競艇場の最大の特徴は、その「荒天」である。山口県の天候は刻一刻と変わりやすく、風や波の影響で水面が大きく荒れることが多い。この「荒れた水上」をどう攻略するかが、徳山G1の最大の鍵となる。

• 波を乗り越えるエンジンの設定: 普段は直線で速度を出せても、波があるとスピードが乗らない。波頭を捉えるtimingと、エンジンの回転数（ターニング）の微調整が求められる。
• 風の読み: 競艇場の場所による風向きの変化。風下（かざしも）に流されないよう、いかにラインを維持するか。

この環境下で、松田祐季選手がインを守り、澤田尚也選手が足色不安を抱えつつもポジションを確保し、海野康志郎選手が体重を絞って水上に挑む。各選手の個性と、徳山というローカルな戦場が織りなす物語は、まさにボートレースの醍醐味と言える。