義ノ富士

義ノ富士、九州場所で「故郷のレジェンド」を下す！4連勝で1敗キープの意地とその背景

大相撲の九州場所が行われる福岡・国技館。その土俵上で、今場所最も熱い物語が繰り広げられている。主役は、十両の力士・義ノ富士（よしのふじ）だ。9日目、義ノ富士は自身の「レジェンド」と呼ぶべき存在、同郷の先輩である美ノ海（みのうみ）を破り、4連勝。1敗のキープを守り、優勝争いの率先者として名を連ねた。

この勝利は単なる星取りの数字ではない。故郷、そして力士としての誇りがぶつかり合う、ある種の「因縁」を含んだ勝負だった。本記事では、スポニチアネックスや時事ドットコム、スポーツ報知といった信頼できるメディアの報告に基づき、義ノ富士の快進撃の裏側にある熱い想いと、その背景にある「親子三代」の物語を深掘りする。

福岡の熱気と「先輩を越えたい」野望：義ノ富士の4連勝の裏側

今場所の義ノ富士の調子は絶好調だ。初日から白星を積み重ね、9日目時点で4勝1敗。十両の土俵でこの成績は、優勝争いに加わるためには十分なスタートだ。

特に注目を集めたのが、7日目の対戦相手、美ノ海との試合だった。美ノ海は十両のレギュラーで、義ノ富士の故郷・福岡県出身の先輩にあたる。地元・福岡での対決、しかも同郷の先輩との勝負。土俵上の空気は一気に高まった。

「貪欲にいきたい。勝っても内容が悪かったら…」

— 九州場所中に語った義ノ富士の言葉（スポニチアネックスより）

この言葉に、ただ勝ちたいだけではない、義ノ富士の「意地」が見える。単なる星取りではなく、観客が「おしい！」と思わず声を上げるような、内容の充実した相撲を求めているのだ。

美ノ海戦では、序盤の互角の動きから、義ノ富士がわずかな隙を突いて寄り切った。技よりも、力と勝負強さで上回った勝負だった。この勝利がもたらしたものは何だったのか。

地元・福岡での「レジェンド」撃破がもたらしたもの

義ノ富士にとって、美ノ海は単なる先輩ではない。スポーツ報知の記事が伝えるところによると、過去には義ノ富士の実家が営む焼き肉店で、二人で記念撮影をするなど、親密な交流があったという。それだけに、土俵での勝負は「恩返し」であり、あるいは「次世代の主役」への宣言だったのかもしれない。

「同郷のレジェンド」を下した義ノ富士。

— 時事ドットコム（2025年11月13日）

時事ドットコムは、美ノ海を「レジェンド」と表現した。それは、長年十両で活躍し、地元・福岡のファンに愛された存在であることを示唆している。そのレジェンドを倒すことにより、義ノ富士は「自分はもう子供ではない」と主張した。この勝利が、単なる連勝記録を超えて、精神的な成長の証となったことは間違いない。

義ノ富士の素顔：親子三代と焼き肉店の物語

義ノ富士という四股名には、彼のルーツが凝縮されている。彼の本名は、富士太郎（ふじたろう）さんだ。そして、その父は福岡で有名な焼き肉店「大黒屋」の親父さんでもある。

スポーツ報知の記事が伝える「焼き肉店での記念撮影」というエピソードは、彼の生活のリアルを伝えている。大相撲の土俵を降りれば、店の手伝いをし、来客に笑顔で応対する、ごく普通の青年。しかし、その背景には「親子三代で守り抜いた夢」という重みがある。

彼の祖父は、元大関・高見山（たかみやま）の弟弟子にあたる尾川（おがわ）親方だった。力士一家として育った彼は、幼い頃から土俵を見慣れていたはずだ。父・富士太郎さんも、元十両力士（千代白藤）としての経験がある。まさに「力士一家」の血を引き継ぐ存在だ。

焼き肉屋の親父さんからの「教育」

父・富士太郎さんは、我が子の成長を最も身近で見守る存在だ。彼が店で客をもてなす姿、そして力士としての姿勢。その両方に、父からの影響が色濃く出ている。

「貪欲に生きたい」という義ノ富士の言葉は、飲食店という「接客業」の裏側にある、お客様に満足してもらうことの重要性と通じる部分があるのかもしれない。焼き肉屋は、素材の良さだけでなく、店主の「接客」の腕で繁盛する。土俵もまた、力の勝負であると同時に、観客を満足させる相撲が求められる。その点で、父からの学びは大きいだろう。

【速報】1敗キープの行方：優勝争いの展望

美ノ海を破った義ノ富士は、この後、9日目から14日目までの勝負で、いかに1敗を守るかが焦点となる。十両の優勝は、数字上、11勝4敗が最低条件だ。残り8番のうち、7番以上を勝つ必要がある。

現在4勝1敗の義ノ富士が、残り8番で7勝1敗以上を挙げれば、11勝以上が確定する。実に厳しい勝負が続く。

残りの対戦相手と課題

義ノ富士の残りの対戦相手は、十両上位の強豪が並ぶ。彼が目指す「優勝」を阻む壁は高い。

• 美ノ海戦の延長線上にある対戦： 同郷の先輩を倒したからといって、油断は禁物。同世代、あるいはそれ以上の強さを持つ力士との対戦が控えている。
• 体調管理： 九州場所は、時期的に寒さが厳しく、怪我や風邪のリスクが高い。4連勝で勢いは抜群だが、体調を崩さない管理能力が試される。

優勝の可能性と「親子両優勝」の野望

義ノ富士が十両で優勝を飾れば、父・富士太郎さんとの「親子両優勝」という、稀有な快挙が実現する可能性が浮上する。父はかつて十両で活躍したが、優勝は果たせなかった。その父の夢を、子が叶える形だ。

現在、父は実家・福岡で店を切り盛りしながら、息子の応援に駆けつけている。もしこの秋場所（九州場所）で義ノ富士が優勝すれば、それは福岡のスポーツ史に残る物語となる。

大相撲界における「地元力士」の意義と今後の展開

義ノ富士の快進撃は、単なる個人の活躍として見過ごせない。大相撲界において、地元・福岡