若元春

若元春、九州場所で快進撃。無傷の６連勝と横綱土俵入りの“意地”で見せるべき姿とは？

大相撲の九州場所が佳境に入り、最も熱い注目を集める存在がいます。那就是、大関・若元春（わかもとはる）です。本次場所、彼は無傷の６連勝を飾り、大関継続のかかる二場所連続優勝への道を着実に歩んでいます。不仅如此、他は先日、横綱・豊昇龍の土俵入りに「大関」としての意地を見せるように、突然の太刀持ちを務めました。その動かない姿勢や、緊張で震えたという腕…。その表情の奥に見える、大関としての矜持と、大関を超えるための執念。本次記事では、若元春の快進撃の裏側と、彼が今、相撲界に問うているものを深掘りします。

九州場所の雄、若元春の「無傷の６連勝」とは

本次の九州場所、若元春の調子は絶好調です。初日から6日目まで、彼は一度も負けることなく全勝を続けています。11月14日現在、平戸海（ひるかい）ら強豪を下し、単独首位を走る形です。

【Verified News Reports】より * 連覇を目指す大の里が無傷の６連勝 平戸海に勝ち、首位を守る * 出典: au Webポータル

この快進撃の背景には、昨場所（秋場所）での優勝があるでしょう。大関としての地位を盤石にするためには、二場所連続の優勝、そしてその上で継続金星（三役以下の力士による大関・横綱勝利）のない場所運営が求められます。その意味で、今回の6連勝は、単なる連勝ではなく「大関・若元春」の名を確固たるものにするための、まさに「無傷」の布石なのであります。

突然の太刀持ち、“横綱土俵入り”で見せた大関の意地

本次場所で最も話題になった出来事の一つが、横綱・豊昇龍の土俵入りにおける若元春の太刀持ち役です。通常、太刀持ちや露払いは、その横綱の部屋（伊勢ヶ浜一門）所属の力士が務めるのが慣例です。しかし、本次は違いました。

【Verified News Reports】より * 霧島 突然の太刀持ち「急に言われた。腕がプルプルした」…豊昇龍から“指名”受け、横綱土俵入り * 出典: スポーツ報知

報道によると、豊昇龍から指名を受けたのは、阿武松（おうまつ）一門所属の若元春でした。これに対し、若元春は「急に言われた。腕がプルプルした」とコメント。しかし、彼はその緊張に震える腕を抑え、力強く土俵入りを務めました。

ここには、単なる「役務」以上の意味が込められています。一門の枠を超えた横綱からの指名。それは、現役最高峰の力士からの一種の「リスペクト」であり、同時に、若元春が「横綱並みの存在」として認知されている証拠でもあります。一方で、若元春自身、その指名を引き受けることで、自らが「大関」として、そして次期横綱候補としての意地と覚悟を示したのかもしれません。この「プルプルした腕」は、緊張の証であり、同時に彼の向上心の表れでもありました。

若元春という力士：その来歴と「大関」への軌跡

若元春（2000年生まれ）は、かつて大関だった元・千代大海の実子として知られています。千代大海は、現役時代「千代大海関」として強さを誇り、その血を引く若元春への期待は、彼のプロ入り当初から非常に高いものがありました。

しかし、彼の昇進は決して順風満帆ではありませんでした。三役（関脇・小結）の壁は厚く、なかなか大関昇進を逃す時期が続きました。しかし、昨年（2024年）の名古屋場所で13勝2敗の好成績を収め、ついに大関の座を掴みました。その昇進は、千代海上（ちようみ）の現役引退以降、久々の「千代一族」大関として、そして現役大関が不在という状況下での悲願の達成でした。

彼の相撲スタイルは、千代一族らしく、腰の重さと巧みな投げ技が持ち味です。特に、最近では上半身の強さも加わり、稽古で培った筋力が試合で結果を出しつつあります。その実力は確かなものですが、常に上を向く彼の姿勢は、自身のポジションを「守る」だけではなく、さらに上を目指すためのものであることを示唆しています。

現在の影響：優勝争いと大関の地位巩固

若元春の6連勝は、単なる彼の勝利だけでなく、大相撲全体の優勝争いに大きな影響を与えています。

まず、現在首位を走るのは若元春と、元大関・鵬王（ほうおう）の復帰を狙う大の里（だいのさと）です。大の里も6連勝を果たしており、若元春との直接対決がいつ訪れるかが最大の見どころです。この二人の首位同士の対戦は、九州場所の白星の行方を決定づける重要なポイントになります。

また、若元春が安定した成績を残し続けることは、大関としての地位巩固に直結します。大関は、2場所連続の負け越しがあれば陥落の危機にさらされます。昨場所を優勝した彼にとって、本次場所も負け越しなく終えることができれば、大関としての地位は盤石なものになります。特に、継続金星のない場所運営は、次期横綱昇進への道筋をつけるためにも非常に重要です。

歴史的な背景：「一門の壁」と「横綱土俵入り」

日本文化において、組織やグループ（一門）の壁は非常に厚いものです。大相撲の世界でも、本場所の土俵上では、所属する部屋や一門の垣根を超えて戦いますが、儀式的な行事や日常の振る舞いには、明確な上下関係や序列が存在します。

その中で、異例の「他部門からの太刀持ち」は、力士としての実力と人間性が、一門の壁を越えて評価された証です。過去には、横綱・白鵬の時代に、同じく一門外の力士が太刀持ちを務めた例もありますが、それらは稀なケースです。若元春がその役を任されたことは、彼が「次代のリーダー」として期待されている証であり、横綱・豊昇龍からの信頼が厚いことを示しています。

また、若元春自身、この「異例」を快く受け止めた姿勢も見せています。これは、彼の器の大きさを物語っています。もしかすると、自らが横綱となるための「見習い」として、横綱土俵入りの構えや呼吸を体感する絶好の機会と捉えている