参政党 国旗損壊罪

参政党「国旗損壊罪」法案提出：国の象徴を巡る議論が再燃

日本の政治舞台で、新たな議論が浮上している。2024年10月27日、参政党が参議院に「日本国旗損壊罪」を新設する法案を単独で提出した。この動きは、自民党や日本維新の会との連携の可能性を示唆しており、日本の国旗を巡る法整備が改めて焦点となっている。

この法案は、国旗を故意に損壊・汚損する行為を刑事罰で取り締まる内容とされている。政治団体が国旗に関する刑法を独自に提案するのは異例のことであり、その背景にはどのような意図があるのか。本稿では、公式情報を基にこの動きの全容を解き明かす。

法案提出の経緯と最新状況

参政党の単独提出

2024年10月27日、参政党は参議院に「日本国旗損壊罪」を新設する法案を提出した。提案者は同党の神谷宗幣代表であり、「単独提出だが、自民党や維新がぜひ一緒にやってほしい」と述べている（東京新聞デジタル）。

この法案の主な内容は、以下の通りである：

• 日本国旗（日章旗）を故意に損壊、破損、汚損する行為に対し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。
• 「侮辱的な行為」としての国旗の使用や改変も対象とする。
• 公共の秩序・安全を損なう行為としての取り締まりを目的。

神谷代表は、「国旗は国の尊厳と国民の連帯を象徴する。故意の損壊は、社会の秩序に対する深刻な挑戦である」と強調した。

維新の協力姿勢

法案提出直後、日本維新の会の吉村洋文大阪府連会長が「一声かけてくれれば、協力する」と述べ、連携の可能性を示唆した（日本経済新聞）。維新は過去にも国旗や国歌（君が代）に関する法整備を支持しており、特に若い世代の意識改革を重視する立場である。

一方、自民党は現時点で公式な反応を示していない。ただし、党内には「国旗を守る法律は必要だ」とする声が根強く、今国会での審議に向けて関心が高まっている。

法案の提出タイミング

この法案は、以下のような流れで提出された：

このように、1週間以内に法案提出から他党の反応までが連鎖しており、政治的な注目度の高さが伺える。

なぜ今、国旗を巡る法律が必要とされるのか？

国旗の法的地位と現状

日本では、国旗（日章旗）と国歌（君が代）の法的根拠は1999年の「国旗国歌法」によって初めて定められた。この法律は、国旗のデザインや掲揚の基準を規定しているが、故意の損壊や侮辱行為に対する刑事罰は設けられていない。

これは、日本が「法の下の平等」と「表現の自由」を重視する民主主義国家であるためだ。しかし、近年、以下のような事例が相次いでいる：

• 政治デモで国旗を燃やした事例（2022年、大阪）
• スポーツ観戦中に国旗を意図的に破いた事例（2023年、東京）
• SNS上で国旗を改変・侮辱的に使用した投稿（2024年、複数）

こうした行為は、警察による「器物損壊罪」などで処罰される場合もあるが、国旗そのものに対する「侮辱的意図」が明らかでも、特定の罰則がないため、厳しい対応が難しい。

「国旗損壊罪」の国際的潮流

日本のような「国旗に対する刑事罰」は、国際的に見ると珍しいわけではない。以下は主要国の例：

特に中国や韓国では、国旗は「国家の象徴」として非常に重んじられており、刑事罰も厳しい。日本が「国旗損壊罪」を導入すれば、こうした国際的な潮流に合致することになる。

反対意見と自由のバランス

一方で、この法案には「表現の自由」を損なう可能性があるとの批判もある。特に以下のような指摘がなされている：

「政治的表現の抑圧」の懸念

日本では、憲法第21条で「表現の自由」が保障されている。国旗を燃やす行為が「政治的メッセージ」として行われる場合、それを刑事罰で取り締まることは、言論統制の一歩と見なされる可能性がある。

例えば、2022年に大阪で発生した国旗燃焼事件では、行為者は「戦争への反対」を表明しており、純粋な侮辱ではなく「抗議の手段」としての側面があった。こうしたケースでは、刑法が介入すべきかどうかが議論の焦点となる。

「過度な法整備」の危険性

また、「国旗を守るためなら、どんな法律でもいい」という考えは、国家の権威を過剰に強化するリスクをはらんでいる。特に若い世代の多くは、国旗に対する「神聖視」よりも「自由な表現」を優先する傾向にある。

2023年のNHK世論調査によると、18～29歳の約45％が「国旗を燃やす行為は問題ない」と回答しており、世代間の価値観の違いが鮮明に表れている。

今後の展開：どこへ向かうか？

国会審議の見通し

参政党の法案は、参議院で審議されるが、自民・維新との連携が鍵となる。現時点では、維新が協力の意向を示しているが、自民党の正式な支持が得られるかどうかが不透明である。

ただし、以下の点から、法案成立